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「太陽光発電の発電量が減ってきた気がする」

このようなお悩みはありませんか?

 

発電量の低下には、パネルの劣化や故障、天候の影響など、さまざまな原因が考えられます。
 

なかでも、意外と見落とされがちなのが「パネルの汚れ」です。

汚れがたまると光が遮られ、発電効率が落ちてしまうこともあるため、定期的な清掃が重要です。

もちろん、清掃だけでなく、定期的な点検やメンテナンスも欠かせません。

 

本記事では、太陽光発電の発電量が下がる主な要因と、発電効率を改善するための対策や発電量を最大限引き出す方法について解説します。

 

太陽光発電の発電量の目安

まずは、太陽光発電でどのくらいの電力が発電できるのか、発電量の目安を確認しておきましょう。

 

年間発電量の目安 

太陽光発電では、以下のような単位が使われます。

  • kW(キロワット):瞬間的な電力(パネルの発電能力)
  • kWh(キロワットアワー):発電・使用した電気の量(kW×時間)

 

設置容量1kWあたりの年間発電量の目安は約1,000kWhとされています。

※パネルを30度の角度で真南に向けて設置した場合の標準的な値
 

住宅用の太陽光発電システムでは一般的に3〜5kWが多く、たとえば4kWの設備なら、年間約4,000kWhの発電量が期待できます。

ただし、実際の発電量は地域の日射量やパネルの向きによって変動するため、これはあくまで参考値です。

 

1日の発電量の目安

年間で1,000kWh発電する場合、1日あたりの発電量は約2.7kWh(1,000kWh÷365日=約2.74kWh)です。

たとえば3kWのシステムなら約8.2khW、5kWhなら約13.7kWhが目安となります。

 

発電量の計算方法とシミュレーションの使い方

年間の発電量は、次の計算式で求めることができます。

 

年間発電量(kWh) = 年平均日射量(kWh/m2/day)× 太陽光パネルの出力(kW)× 損失係数 × 365日

  • 年平均日射量:地域ごとに異なり、NEDOの「日射量データベース」などで調べられます。
  • パネル出力:1枚当たりの出力(W)×枚数÷1,000で計算できます。
  • 損失係数:パネルの種類や汚れ、温度上昇などによる出力の損失を考慮して掛ける数値で0.73(73%)が一般的です。

 

ただし、発電量は季節や設置条件などによっても変動するため、目安として参考にするのがよいでしょう。

より手軽に試算できるメーカー提供のシミュレーションツールもおすすめです。

 

太陽光発電の発電量に影響を与える要因

太陽光発電の発電量は、さまざまな条件によって変動します。

発電量に影響を与える主な要因を見ていきましょう。

 

太陽光パネルの性能

太陽光パネルの性能を左右するのが「変換効率」です。

変換効率には「モジュール変換効率」と「セル変換効率」がありますが、一般家庭の場合、注目すべきはモジュール変換効率です。

 

これは、パネル1枚が受けた太陽光エネルギーをどれだけ電気に変換できるかを示す指標で、現在は18〜22%が主流です。

この数値が高いほど、同じ面積でもより多くの電力を生み出せるため、屋根の広さに限りがある住宅では特に重要なポイントになります。

カタログなどではセル変換効率が記載されていることもあるため、確認する際はモジュール変換効率であることをチェックしましょう。

 

太陽光パネルの容量

パネルの容量(交称最大出力×設置枚数)によっても発電量は変わります。

容量1kWhあたりの年間発電量は約1,000kWhが目安とされており、容量が増えればその分発電量も多くなります。

 

容量は家族の人数やライフスタイルに応じて決めるのがよいでしょう。

 

地域による日照時間の違い

太陽光発電にとって、日照時間の長さは発電量に大きく影響します。

日照時間は地域によって異なり、たとえば太平洋側や瀬戸内海沿岸は晴天の日が多く、発電量も多くなる傾向です。

 

一方、北陸や東北地方などの日本海側は、冬場を中心に曇りや雪の日が多く、日照時間が短くなりがちです。

ただし、日照時間が短い地域でも、パネルの設置角度や方角を工夫することで、発電効率の向上が期待できます。

 

太陽光発電の導入を検討する際は、地域の気候条件を踏まえたうえで、専門業者に相談しながら設置計画を立てることをおすすめします。

 

季節による日照時間の違い

季節によって日照時間が変わるため、発電量も年間を通して変動します。

一般的に、春〜初夏(4〜5月)頃がもっとも発電量が多い時期とされます。

 

一見、夏の方が日差しが強くて発電量が増えそうですが、高温になるとパネル効率が下がるため、必ずしも発電量が増えるとは限りません。

 

太陽光パネルの表面温度が25℃を超えると、1℃上昇するごとに発電効率が約0.5%低下するといわれています。

また、梅雨や冬は日照時間が短く、発電量も減少傾向になります。

 

設置方角や角度

太陽光パネルを設置する向きは、日射量が最も多く得られる「南向き」が理想です。

 

最適な角度については地域によって異なりますが、日本では30度前後が標準的とされています。

  • 北日本(緯度が高い):太陽の角度が低いため、パネルの角度は急に
  • 南日本(緯度が低い):太陽の角度が高いため、パネルの角度は緩やかに
     

なお、一般的な住宅では、屋根の勾配に沿ってパネルを設置するため、角度の調整が難しい場合もあります。傾斜のない陸屋根などの場合は、架台を使って角度を調整することも可能です。

 

太陽光発電の発電量が低下する主な原因

太陽光発電の発電量が低下する主な原因は、以下のとおりです。

 

経年劣化

太陽光パネルの寿命は一般的に25〜30年とされています。

長期間の使用によって徐々に性能が低下し、発電量も減少していきます。

 

太陽光パネルの汚れ

パネルの表面が汚れると、太陽光の透過率が下がります。

パネル内部の太陽電池セルに届く光の量が減少するため、発電効率が低下します。
 

主な汚れの原因は以下のとおりです。

  • 鳥のフン
  • 花粉
  • 落ち葉・枯れ葉
  • 土埃・黄砂
  • 排気ガス

 

特に注意したいのは、パネルの一部分だけが汚れている場合です。

太陽光パネルは複数のセルが直列に接続されているため、一部のセルの発電量が下がると全体の効率が低下します。

 

さらに、汚れたセル部分に熱が集中する「ホットスポット現象」が起きると、セルの劣化やガラスのひび割れを引き起こし、パネルの寿命を縮めるリスクがあります。

そのため、目立つ汚れは早めに除去することが大切です。

 

パワコンの劣化・故障

パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光パネルが発電する直流電力を、家庭用の交流電力に変換する装置です。

寿命はおよそ10年程度とされています。

 

パネルが正常でも、パワコンの劣化や故障が原因で発電量が急激に低下するケースがあります。

 

影ができている

近隣の建物や樹木、アンテナ、電線などが太陽光パネルに影を落とすと、発電効率が下がります。

影は時間帯や季節によっても変化するため、定期的にチェックしましょう。
 

季節や気温の影響

太陽光パネルの発電量は、パネルの表面温度が25℃を超えると、1℃上がるごとに発電効率が約0.5℃ずつ低下します。

 

また、季節によって日照時間も変わるため、発電量の低下は季節や気温の影響による場合もあります。

 

太陽光発電の発電量を改善するための対策

発電量の低下が気になる場合、以下のような対策を検討しましょう。

 

影の有無を確認する

近隣の建物や樹木、電柱、アンテナなどがパネルに影を落としていないか確認しましょう。

思わぬ障害物が影になっている場合もあります。

 

影を発見した場合は、原因に応じて対策を検討しましょう。

たとえば、自宅の敷地内の木やアンテナが影になっていれば、「剪定を行う」「アンテナの設置場所を見直す」などの方法があります。

 

パネルの移設が必要な場合は、専門業者に相談するのがおすすめです。

 

パネルを清掃する

雨によってある程度の汚れは流されますが、鳥のフンなどの落ちにくい汚れが付着すると、発電効率に悪影響を及ぼします。

 

とくに汚れた部分に熱が集中する「ホットスポット現象」が生じると、パネルの劣化を早める原因になるため注意が必要です。

発電量を改善するには、定期的なパネルの清掃が必要です。

 

自分で清掃する場合

屋根の上での作業は危険なので、地上から届く範囲で行いましょう。

  • 落ち葉や枝など大きなゴミを取り除く
  • ホースの水で優しく洗い流す(高圧洗浄機は使わない)
  • 中性洗剤をぬるま湯に溶かし、マイクロファイバーモップで拭き取る
  • 洗剤を使った場合は、綺麗な水でよくすすぐ

 

作業は朝や夕方の涼しい時間帯に行いましょう。

熱くなったパネルに冷たい水をかけると熱衝撃でガラスが割れる恐れがあります。

 

可能であれば純水を使うと、水道水に含まれるミネラル分による白い跡を防げます。

脚立や踏み台を使う際は、必ず安定した場所に設置し、誰かに支えてもらうのが安全です。

 

業者に依頼する場合

専門業者は、高所作業に適した安全器具(命綱、ハーネスなど)を使用し、長い柄の付いた特殊なブラシや、純水洗浄システムなど専用機材で清掃を行います。

 

清掃とあわせて点検も実施してくれる場合が多く、パネルの劣化や破損なども早期に把握できます。

費用は10〜20枚程度の一般家庭用で3〜6万円が相場です。定期契約により割引を受けられるケースもあります。

 

清掃のタイミング・頻度の目安

太陽光パネルの清掃に適した時期、避けた方がよい時期は以下のとおりです。

 

適した時期避けた方がよい時期

・梅雨明け後

・秋の落ち葉シーズン後

・花粉シーズン後

・真夏の炎天下

・強風時

・雨天時や凍結時

 

清掃頻度はパネルの設置環境によって異なります。以下を目安にしてください。

  • 工業地帯・交通量の多い道路沿い・海岸近く:年1~2回
  • 緩やかな傾斜の屋根:年1回
  • 郊外の住宅地:1~2年に1回
  • 急傾斜のパネル:2~3年に1回(目立つ汚れがなければ)

 

定期点検・メンテナンスを受ける

定期的に点検を受けていると、劣化や故障を早期に発見できます。

不具合を修理することで、発電効率の低下を防ぎ、長期的に安定した発電が可能になります。

 

太陽光発電の発電量を最大限に引き出す方法

これまでご紹介した改善方法に加え、発電量を最大限に高めるには、次のような工夫も効果的です。

 

発電効率が高いパネルを選ぶ

発電量を最大限に高めるには、発電効率が高い太陽光パネルを選ぶことが重要です。

 

パネル交換を検討する際は、発電効率が高く、長寿命な製品を選ぶことで、限られたスペースでもより多くの発電量を確保できます。

 

パワコンの性能を見直す

パワコンは、太陽光パネルが発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換します。

しかし、変換効率が低いと、発電量を十分に活かせません。

 

パワコンは10年程度で寿命を迎えることが多いため、10年以上使用している場合は、変換効率の高い製品への交換も検討しましょう。

 

発電量のモニタリングで早期に異常を発見する

同じような天候でも発電量が著しく低い場合は、システムに異常が発生している可能性があります。

日常的に発電量を確認しておくことで、異常を早期に発見し、修理や点検につなげられます。

 

まとめ

太陽光発電の発電量は、パネルの汚れや影、機器の劣化、気温など、様々な要因で低下する可能性があります。

発電量の低下を防ぐには、こうした問題にいち早く気づき、適切な対策を講じることが不可欠です。

 

定期的な点検と日々の発電量モニタリングで異常を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことで、発電量の維持・改善ができます。

日々の発電量をモニタリングしながら、必要に応じて専門業者に相談し、適切な対策を取りましょう。

 

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