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太陽光パネルは長期間にわたって効率よく発電を続けるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。中でもパネル表面の清掃は、発電効率を維持するうえで重要な役割を果たします。この記事では、太陽光パネルの清掃が必要な理由から、自分でできる方法、プロに依頼すべきケースまで詳しく解説します。

太陽光パネルの清掃が必要な理由

太陽光パネルは屋外に設置されているため、さまざまな汚れにさらされています。一般的には雨によって汚れが洗い流されるため、常に清掃が必要というわけではありません。しかし、長期間にわたって汚れが蓄積すると、発電効率に影響を及ぼすことがあります。

京セラの調査によると、パネル表面の汚れによって発電量が5〜15%低下するケースがあることが報告されています。特に、雨が少ない地域や傾斜の緩いパネルでは、汚れが蓄積しやすく影響も大きくなります。

また、パネル表面の一部に鳥のフンなどの落ちにくい汚れが付着すると、その部分だけ発電できなくなり、「ホットスポット現象」というリスクが生じることもあります。この現象は、汚れた部分に熱が集中してパネルの劣化を早める原因となるため注意が必要です。

太陽光パネルの主な汚れの原因

太陽光パネルが汚れる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 鳥のフン: 落ちにくく、局所的に強い影響を与える
  • 花粉: 春先に多く、雨でも完全には落ちないことがある
  • 落ち葉・枯れ葉: パネル上に堆積すると影を作り発電効率を下げる
  • 土埃・砂埃: 風で運ばれてきて徐々に蓄積する
  • 黄砂: 春先に飛来し、雨と混じると固着することもある
  • 工場の排気物: 工業地帯近くでは油分を含んだ汚れが付着しやすい
  • 排気ガス: 交通量の多い道路近くでは黒い粒子状の汚れが蓄積しやすい

これらの汚れの影響度は、設置環境によって大きく異なります。例えば、工場や交通量の多い道路の近くでは汚れやすく、自然が多い郊外では比較的きれいな状態を保ちやすい傾向があります。

汚れによる発電効率の低下とは

太陽光パネルの表面が汚れると、太陽光の透過率が低下し、パネル内部の太陽電池セルに届く光の量が減少します。これが発電効率の低下につながります。

特に注意したいのは、パネルの一部分だけが汚れている場合です。太陽光パネルは複数のセルが直列に接続されているため、一部のセルの発電量が低下すると、その影響がパネル全体、さらには接続された他のパネルにまで及ぶことがあります。これは「ボトルネック効果」と呼ばれ、一枚のパネルの一部が鳥のフンで汚れただけでも、発電システム全体の効率が低下する原因になります。

また、前述のホットスポット現象は、汚れた部分のセルが発電できないことで熱に変わり、局所的な高温部分を生じさせます。この高温状態が長く続くと、セルの劣化やガラスのひび割れを引き起こし、パネルの寿命を縮める恐れもあります。そのため、特に目立つ汚れは早めに除去することが大切です。

太陽光パネルの清掃方法

太陽光パネルの清掃は、安全かつパネルを傷つけないように行うことが重要です。ここでは自分でできる簡単な清掃方法と、プロによる清掃サービスについて説明します。

自分でできる簡単な清掃方法

自宅で太陽光パネルの清掃を行う場合は、以下の手順とポイントを参考にしてください。

必要な道具

  • 柔らかいブラシ(カーブラシなど)
  • マイクロファイバーモップ(伸縮ポール付き)
  • バケツ
  • 中性洗剤(必要な場合)
  • ゴム手袋
  • 滑り止め付きの靴

基本的な清掃手順

  1. 安全確認: 天候が安定している日を選び、朝夕の涼しい時間帯に行いましょう。屋根の上での作業は危険ですので、地上から届く範囲内で行うことをおすすめします。
  2. 大きなゴミの除去: 落ち葉や枝などの大きなゴミをまず取り除きます。このとき、パネル表面を傷つけないよう柔らかいブラシや葉っぱを使うと良いでしょう。
  3. 水洗い: ほこりや軽い汚れは、ホースの水で優しく洗い流します。高圧洗浄機は使用しないでください。パネルを傷つける恐れがあります。
  4. 汚れの拭き取り: 水洗いで落ちない汚れがある場合は、ぬるま湯に少量の中性洗剤を溶かし、マイクロファイバーモップで優しく拭き取ります。強くこすらないよう注意してください。
  5. すすぎ: 洗剤を使った場合は、きれいな水で十分にすすぎ、洗剤が残らないようにします。
  6. 乾燥: 必要に応じて、柔らかい布やタオルで水滴を拭き取ります。多くの場合、自然乾燥で問題ありません。

自己清掃時の注意点

  • 熱くなったパネルに冷たい水をかけると、熱衝撃でガラスが割れる恐れがあります
  • 硬いブラシやスポンジでこすると、パネル表面に微細な傷がつく可能性があります
  • 水道水に含まれるミネラル分が乾くと白い跡が残ることがあるため、可能であれば純水を使用するとよいでしょう
  • 踏み台や脚立を使う場合は、安定した場所に設置し、必ず誰かに支えてもらいましょう

プロによる清掃サービスの内容

専門業者に太陽光パネルの清掃を依頼する場合、一般的に以下のようなサービスが提供されます。

プロの清掃方法

  • 専用洗浄機器: 長い柄の付いた特殊なブラシや、純水を使用する洗浄システムなど、専用機材を使用します
  • 純水洗浄: ミネラル分を取り除いた純水を使用することで、拭き跡を残さず効果的に汚れを落とします
  • 安全装備: 高所作業に適した安全器具(命綱、ハーネスなど)を使用して作業を行います
  • 点検サービス: 多くの場合、清掃と同時にパネルの点検も行い、ひび割れや劣化などの異常がないかチェックします

費用相場 プロによる清掃サービスの費用は、パネルの枚数や設置場所、汚れの程度などによって異なりますが、一般的な家庭用の太陽光発電システム(10〜20枚程度)で3万円〜6万円程度が相場です。定期契約を結ぶと割引が適用されるケースもあります。

業者選びのポイント

  • 太陽光パネル清掃の実績があるか
  • 保険に加入しているか(作業中の事故や設備損傷に対応)
  • 清掃方法やパネルへの配慮事項を理解しているか
  • アフターケアや保証制度があるか

プロによる清掃は費用はかかりますが、安全性と確実性を考えると、特に屋根上に設置されたパネルの場合はプロに依頼する方が安心です。

太陽光パネル清掃の頻度と最適なタイミング

太陽光パネルの清掃頻度は、設置環境や汚れの程度によって異なります。ここでは一般的な目安と、清掃に適した時期について解説します。

清掃が推奨される時期

太陽光パネルの清掃に最も適しているのは、以下の時期です。

  • 梅雨明け後: 梅雨の間に付着した汚れを洗い流すのに適しています。また、梅雨明け後は日照時間が長く発電量が多い時期なので、パネルをきれいにしておくメリットが大きいです。
  • 秋の落ち葉シーズン後: 落ち葉が多く飛散する時期の後は、パネル上に葉っぱが堆積していることがあります。冬の日射量が少ない時期に入る前に清掃しておくと効果的です。
  • 花粉シーズン後: 春の花粉が多い時期の後は、パネル表面に花粉が付着していることがあります。花粉は雨でも完全には落ちないため、清掃が必要な場合があります。

避けた方が良い時期としては、以下が挙げられます。

  • 真夏の炎天下: パネルが高温になっている状態での清掃は、熱衝撃によるガラスの破損リスクがあります。また作業者の熱中症リスクも高まります。
  • 強風時: 高所での作業が危険になりますし、水が飛散して効果的な清掃ができません。
  • 雨天時・凍結時: 滑りやすく危険なうえ、効果的な清掃ができません。

パネルの設置環境による清掃頻度の違い

パネルの設置環境によって、推奨される清掃頻度は大きく異なります。

清掃頻度を上げるべき環境

  • 工場地帯の近く: 排気物質が付着しやすく、年1〜2回の清掃が望ましい
  • 交通量の多い道路沿い: 排気ガスや砂埃が多いため、年1〜2回の清掃を検討
  • 海岸近く: 潮風による塩分が付着しやすく、年1〜2回の清掃が必要
  • 樹木の多い場所: 落ち葉や花粉、樹液などが付着しやすく、季節の変わり目に確認
  • 農地の近く: 農作業で舞い上がる土埃が多いため、定期的な確認が必要
  • 傾斜が緩いパネル: 雨で汚れが流れにくいため、年1回程度の清掃を検討

清掃頻度を下げても良い環境

  • 郊外の住宅地: 比較的汚れが少なく、1〜2年に1回程度で十分なことが多い
  • 高台や風通しの良い場所: ほこりが溜まりにくく、必要に応じた清掃で対応可能
  • 急傾斜のパネル: 雨で汚れが流れやすいため、目立つ汚れがなければ2〜3年に1回で十分

清掃の必要性を判断する簡単な方法として、発電量のモニタリングがあります。天候条件が同じでも前年同期に比べて発電量が5〜10%以上低下している場合は、パネルの汚れが影響している可能性があります。また、定期点検のタイミングで専門家に汚れの状態を確認してもらうのも良い方法です。

太陽光パネル清掃時の注意点

太陽光パネルの清掃作業では、パネル自体への配慮と作業者の安全確保が重要です。ここでは清掃時の主な注意点について解説します。

パネルを傷つけないための注意点

太陽光パネルは見た目以上にデリケートな製品です。不適切な清掃方法でパネルを傷つけると、発電効率の低下や耐久性の悪化を招きます。

避けるべき清掃方法

  • 硬いブラシやスポンジでのこすり洗い: パネル表面に微細な傷がつき、光の透過率が低下します
  • 高圧洗浄機の直接噴射: 強い水圧でパネルの接着部分にダメージを与えたり、水が侵入したりする恐れがあります
  • アルカリ性や酸性の強い洗剤の使用: パネルの表面コーティングを損傷する可能性があります
  • 金属製の道具での作業: パネル表面を傷つけるだけでなく、感電リスクもあります

推奨される清掃方法

  • 柔らかいマイクロファイバーモップや布での優しい拭き取り
  • 中性の石けんや専用クリーナーを薄めた液での洗浄
  • 純水(イオン交換水)を使った拭き跡の残らない洗浄
  • なるべく擦らず、水の力で汚れを浮かして流す方法

また、パネルの温度差にも注意が必要です。真夏の炎天下で熱くなったパネルに冷たい水をかけると、急激な温度変化(熱衝撃)によってガラスにひびが入る可能性があります。清掃は朝夕の涼しい時間帯に行うか、曇りの日を選びましょう。

安全に清掃を行うためのポイント

太陽光パネルの清掃は高所作業を伴うことが多く、安全面での配慮が不可欠です。

作業前の安全確認

  • 天候が安定している日を選ぶ(強風や雨天は避ける)
  • 適切な作業着と滑り止め付きの靴を着用する
  • 脚立やはしごは安定した場所に設置し、必ず誰かに支えてもらう
  • 電気系統の安全確認(感電リスクの把握)
  • 作業範囲の確認(無理な姿勢での作業は避ける)

作業中の注意点

  • 常に三点確保(両手と片足、または両足と片手を安定させる)
  • 無理な姿勢や体勢での作業は避ける
  • 熱中症対策(水分補給、休憩、帽子の着用など)
  • 金属製の道具を使用しない(感電リスク)
  • 電気ケーブルを踏んだり引っ張ったりしない

専門業者に依頼すべきケース

  • 屋根の勾配が急で滑りやすい場合
  • パネルが高所に設置されている場合
  • 身体的に高所作業が困難な場合
  • 大規模な太陽光発電システムの場合
  • 特殊な汚れ(油性の汚れ、固着した汚れなど)がある場合

安全に自己清掃できる範囲には限りがあります。危険を感じる場合は、無理せず専門業者に依頼することを検討しましょう。命や健康に代えられるコストはありません。

太陽光パネル清掃のDIYと業者依頼の比較

太陽光パネルの清掃は自分で行うこともできますし、専門業者に依頼することもできます。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

DIYでパネル清掃を行うメリットとデメリット

DIYのメリット

  • コスト削減: 専門業者に依頼するより費用を抑えられます
  • 手軽さ: 自分のタイミングで実施できます
  • こまめな対応: 目立つ汚れをすぐに対処できます
  • 設備への理解: パネルの状態を定期的に確認することで、異常の早期発見につながります

DIYのデメリット

  • 安全リスク: 高所作業による転落や感電の危険があります
  • 不十分な清掃: 専用機材がないため、汚れが完全に落ちない場合があります
  • パネル損傷リスク: 不適切な清掃方法でパネルを傷つける可能性があります
  • 保証への影響: 自己清掃によるダメージはメーカー保証の対象外となる場合があります

DIY清掃が適しているのは、地上から手が届く位置や、安全に作業できる傾斜の緩い屋根に設置されたパネルの場合です。また、特別な道具がなくても落とせる軽度の汚れであれば、自己清掃も効果的です。

専門業者に依頼するメリットとデメリット

業者依頼のメリット

  • 安全性: 専門の安全装備と熟練した技術で作業を行います
  • 確実な洗浄: 専用機材や洗剤を使用し、効果的に汚れを落とします
  • 点検サービス: 清掃と同時にパネルの異常や劣化も確認してくれます
  • 保証: 作業中のトラブルや破損に対する保険や保証が付いている場合が多いです
  • 専門知識: パネルタイプに適した洗浄方法を選択してくれます

業者依頼のデメリット

  • 費用: 自己清掃に比べてコストがかかります(一般家庭で3万円〜6万円程度)
  • 日程調整: 業者のスケジュールに合わせる必要があります
  • 業者選定の手間: 信頼できる業者を探す手間がかかります

専門業者への依頼が適しているのは、急勾配の屋根や高所に設置されたパネル、大規模なシステム、頑固な汚れがある場合です。また、高齢者や身体的に高所作業が困難な方、時間的余裕がない方にもおすすめです。

最終的には、設置環境、汚れの状況、自身の技術や体力、そして費用対効果を総合的に判断して、DIYと業者依頼のどちらが適しているかを決めるとよいでしょう。

まとめ:太陽光パネルの清掃で発電効率を維持しよう

太陽光パネルの清掃は、発電効率を維持し、パネルの寿命を延ばすために重要なメンテナンス作業です。この記事のポイントをまとめると以下のようになります。

  • 清掃の必要性: パネル表面の汚れは発電効率を5〜15%低下させる可能性があり、定期的な清掃で本来の性能を維持できます
  • 汚れの原因: 鳥のフン、花粉、落ち葉、砂埃などが主な汚れの原因で、設置環境によって汚れやすさが異なります
  • 清掃方法: 柔らかいモップや布を使った優しい拭き取りが基本で、強くこすったり高圧洗浄したりするのは避けましょう
  • 清掃の頻度: 一般的には1〜2年に1回程度が目安ですが、工場近くや海岸沿いなど汚れやすい環境では年1〜2回の清掃が望ましいです
  • 清掃のタイミング: 梅雨明け後や花粉シーズン後が適しており、真夏の炎天下や強風時は避けた方が良いです
  • 安全への配慮: 高所作業の危険性を認識し、無理な体勢での作業は避け、必要に応じて専門業者に依頼しましょう
  • DIYと業者依頼: 設置環境や汚れの状況、安全面を考慮して、自己清掃と専門業者への依頼を使い分けるのが理想的です

太陽光パネルは適切なメンテナンスによって20〜30年という長期間、効率的に発電し続けることができます。清掃だけでなく、定期的な点検と組み合わせることで、発電システム全体の健全性を保ち、投資効果を最大化することができます。

特に卒FIT(固定価格買取制度終了)後は売電価格が下がるため、発電効率を維持して自家消費率を高めることが経済的にも重要になります。パネルの状態を良好に保つことで、長期にわたり再生可能エネルギーの恩恵を受け続けることができるでしょう。

適切な頻度と方法で太陽光パネルの清掃を行い、クリーンエネルギーを最大限に活用しましょう。

 

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