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太陽光発電を導入してから10年が経つと、売電に関する制度が大きく変わります。

これが「卒FIT」と呼ばれるタイミングです。

卒FITを迎えると、これまで固定されていた売電価格が終了し、今後の電力の使い方や売り先を見直す必要があります。

実際、多くの家庭が「売電価格はどうなるのか」「これからどうすればいいのか」といった悩みを抱えています。

 

この記事では、卒FITの基本から売電価格の目安、今後の選択肢までを初心者にもわかりやすく解説します。

10年目以降も、太陽光発電をムダなく活用するためのヒントを見つけましょう。

卒FITとは?太陽光発電と「10年」の関係

この章では、太陽光発電の売電制度と導入から10年後に起きることをわかりやすく説明します。

FIT制度とは?

FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光発電などの再生可能エネルギーで作った電気を、国が定めた価格で電力会社が一定期間買い取る仕組みです。

この制度は太陽光発電などの再生可能エネルギーを普及させるために、2012年に設けられました。

認定を受けた時点での価格が固定され、家庭用の太陽光発電なら10年間その価格で電気を売ることができます。

 

ただし、買取価格自体は毎年見直されていて、新規に認定される人はその時の価格が適用されます。

このように一定期間の固定価格が設けられていることで、長期間の収入計画を立てやすくなっています。
 

卒FITとは?

卒FITとは、FIT制度で認定された太陽光発電の固定買取期間が終了した状態を指します。

つまり、10年の契約期間が満了し、これまでの固定価格での売電が終わるということです。

 

卒FITを迎えると、売電価格は大幅に下がることが多いため、多くの家庭で今後の電力の使い方を考える必要が出てきます。

そのため、卒FIT後にどう対応するか、どのような選択肢があるかが注目されています。

卒FIT後の売電価格はどうなる?

 

卒FIT後も売電は可能

卒FITを迎えても、太陽光で作った電気を電力会社に売電することはできます。

これまでのように決まった価格で買い取ってもらえるわけではありませんが、電力会社と契約を結べば、売電を続けられます。

ただし、卒FIT後は売る電気の値段や契約の条件が変わるため、売電で得られるお金も変わってきます。

 

そのため、できるだけ高い値段で電気を買い取ってくれる電力会社を見つけることが大切です。

電力会社によって買い取り価格やサービスが違うので、いくつかの会社を比べて選ぶことが大切です。

 

卒FIT後の売電価格の目安

卒FITを迎えると、売電価格が大きく下がるため、あらかじめどの程度になるのかを知っておくことが大切です。

現在、卒FITを迎える方が適用されていたFIT制度では、1kWhあたり30円前後で売ることができたのではないでしょうか。

 

しかし、この制度の期間が終わると、そのような価格での売電は保証されなくなります。卒FIT後は、各電力会社が自由に売電価格を設定するため、状況が大きく変わります。

多くの大手電力会社では1kWhあたりおよそ8円前後、新電力でも高くて12円程度の価格が一般的です。

 

さらに、発電された電気が増えすぎて電力の需要を上回ってしまうと、電気の価値は下がるため、今後売電価格が上がる可能性は低くなると考えられます。

このような状況をふまえると、卒FIT後の売電価格は、FIT制度期間中の3分の1程度、またはそれ以下になると想定しておくとよいでしょう。

 

卒FIT後の選択肢

卒FIT後の選択肢は、主に3つあります。

それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。

①現在の電力会社へ売電する

まず、現在契約している電力会社に、そのまま売電を続ける方法があります。

多くの電力会社は卒FITに対応した新しい買取プランを用意しており、手続きをすれば自動的にそのプランに切り替わる場合も多いです。

 

ただし、FIT期間中と同じレベルの売電価格は期待できません。卒FIT後の買取価格はかなり低くなるため、売電による収入は以前より減る可能性があります。

それでも、売電を続けることで少しでも収入が得られる点は大きなメリットです。

 

さらに、電力会社によっては卒FIT専用のプランに独自のサービスや特典を付けているところもあります。たとえばポイント還元や電気料金の割引などです。

そのため、複数のプランを比較し、条件やサービス内容をよく確認したうえで、自分に合った契約を選ぶことをおすすめします。

このように、今の電力会社に売電を続ける方法は、手間が少なく安定した収入を得たい人に向いています。
 

②現在とは異なる電力会社へ売電する

卒FIT後は、今までとは違う新しい電力会社に電気を売ることもできます。

これは「電力自由化」によって可能になった方法で、さまざまな新電力会社が市場に参入しています。

 

新電力は大手電力会社よりも売電価格が高いことが多く、その結果、売電による収入が増える可能性があります。

たとえば、ENEOSのようなガソリンスタンドで知られる企業も電気の売買を行う新電力の一つです。

 

さらに、積水ハウスやヘーベルハウスなどの住宅メーカーが住宅の所有者向けに高い売電価格を設定するプランを用意している場合もあります。

新電力の売電プランは会社ごとに契約条件や手続きが異なります。

そのため、契約前に売電価格だけでなく、契約期間や違約金の有無、サポート体制などもよく確認しましょう。

 

また、卒FIT後の売電価格は年々下がる傾向にあるため、数年に一度は見直してより良い条件の会社に乗り換えることも検討してください。

このように、新電力を活用することで売電の収入を最大化できる可能性があり、賢く選べば家計の助けになるでしょう。

 

③自家消費に切り替える

卒FITを迎えると売電価格が大きく下がるため、自宅で発電した電気を自宅で使う「自家消費」が有効な選択肢となります。

発電した電気を売る場合、1kWhあたりの売電価格は8円から12円程度です。

 

一方で、電力会社から購入する電気は、会社やプランによっても異なりますが、1kWhあたり31円程度で提供されています。

この差額を考えると、発電した電気を売るよりも、自分で使った方が電気料金の節約につながります。

 

たとえば、洗濯機や掃除機、食器洗い機など、家庭内で電気を多く消費する場面で、発電した電気を活用することで、購入電力量を減らすことができます。

さらに、売電に比べて電力会社の選択や契約手続きの心配がなく、気軽に取り組める点も魅力です。

 

自家消費の場合は蓄電池も一緒に導入がおすすめ

太陽光発電を自家消費で活用するなら、蓄電池を一緒に導入することで、さらにメリットが広がります。

本章では、蓄電池を導入することで得られる利点や活用方法について見ていきましょう。

 

電気代の節約につながる

蓄電池を導入すると、電気代の節約につながります。

太陽光パネルで発電した電気は、昼間に使いきれないことがあります。そんなとき、蓄電池にためておけば、夜間や雨の日でもためた電気を使えます。

 

これにより、電力会社から買う電気の量を減らせるため、毎月の電気代を抑えられます。

蓄電池があると、電気を効率よく使えるので、無駄を減らして節約効果を高められます。

 

災害時に活用できる

蓄電池は、停電が起きても家庭で電気を使い続けられます。

たとえば地震などで電力の供給が止まっても、蓄電池にためた電気があれば、冷蔵庫や照明などの必要な電力を確保できるため安心です。

 

ただし、蓄電池にためられる電気の量には限りがあり、使える時間や家電は電池容量や家庭の電力消費量によって変わります。

蓄電池の電気がなくなれば使えなくなるため、どれくらいの容量が必要かよく検討しましょう。

 

補助金制度を活用しよう

補助金制度を活用することで、太陽光発電や蓄電池の導入費用を抑えられる可能性があります。

初期費用が高く感じられても、補助金をうまく利用すれば、経済的な負担を軽減できます。
 

たとえば、国が推進している「ZEH(ゼッチ)」住宅向けの補助金制度があります。

ZEHとは、家庭で使うエネルギーを減らし、太陽光発電や蓄電池を使ってエネルギーの自給自足を目指す住宅です。

 

太陽光発電と蓄電池を組み合わせて導入することで、ZEH補助金の対象となる可能性があります。

また、多くの自治体も、太陽光発電や蓄電池の設置に対して独自の補助制度を設けています。

 

補助金の内容は、自治体によって金額や申請時期、対象となる設備の条件が異なるため、住んでいる地域の最新情報をこまめに確認することが大切です。

 

まとめ

卒FITを迎えると、固定された売電価格が終了し、電力の使い方を見直す必要があります。

そのまま売電を続ける、電力会社を変える、自家消費に切り替えるなど、選択肢はいくつかありますが、どの方法にもメリットと注意点があります。

 

だからこそ、今後の生活スタイルや電気の使い方に合った方法を選ぶことが大切です。

卒FIT後も太陽光発電を上手に活用し、無理なく電気代を抑える工夫を続けていきましょう。


 

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