
電気代の高騰や自然災害の影響で、家庭用蓄電池が注目されています。
太陽光発電とあわせて導入する家庭も増える一方、「本当に必要?」「元は取れるの?」と悩む人も少なくありません。
実は、蓄電池が向いている人とそうでない人には明確な違いがあります。
この記事では、2025年の最新情報をもとに、家庭用蓄電池が必要な人・不要な人の特徴や後悔しないためのチェックポイントをわかりやすく解説します。
蓄電池とは?基本の仕組みと役割
この章では、そもそも蓄電池とは何かを解説します。
家庭用蓄電池とは、電気をためておき、必要なときに使えるようにする設備のことです。
スマートフォンやモバイルバッテリーと似た仕組みで、電気を「充電」して「放電」する役割があります。
昼間に電気をためておけば、夜間や停電時に使えるため、節電や非常用電源として活用されます。
壁掛け型や据え置き型があり、家の外に設置されることが一般的です。
蓄電池のメリット
蓄電池は今、多くの家庭で注目されています。
その背景には、制度の変化や災害への備えに対する意識の高まりがあります。
ここでは、特に重要な3つの理由を紹介します。
電気代の削減になる
電気代の削減も、蓄電池を導入する理由として注目されています。
特に電力料金の高騰が続く今、家計を守る手段として有効です。
たとえば、太陽光発電で昼間に作った電気を蓄電池にためておけば、夜に使用する電気を電力会社から買わずにすみます。
その結果、電気代の負担を抑えることができます。
東京電力の家庭向け電気料金は、2023年に前年比で約16%上昇しました。
こうした状況の中、蓄電池を活用することで、年間で数万円の節約になるケースもあります。
また、長期的に見れば、導入コストを回収できる可能性も高まります。
災害時の電力確保になる
災害時の電力確保が、蓄電池の大きなメリットです。
地震や台風によって停電が起きたとき、自宅に電気があるかどうかは命に関わります。
実際、2022年の台風15号では、静岡県内で約12万世帯が停電し、復旧に数日かかりました。冷蔵庫やスマートフォンが使えない状態が続いた家庭も少なくありません。
蓄電池があれば、太陽光で発電した電気をためておくことができます。
非常時でも照明や家電を一定時間使えるため、不安を減らせます。災害の多い日本では、電気を自宅で確保しておくことが重要です。
FIT終了後、余剰電力の自家消費に活用できる
2019年11月ごろから、太陽光で発電した電気を高く買い取ってもらえる制度(FIT制度)が順番に終わっています。
これを「卒FIT」といいます。
FIT制度が終わると、売れる電気の値段がとても安くなってしまいます。
よって、FIT終了後は、売電価格の低下に合わせて、自家消費するスタイルの方が効率的で得になります。
自家消費することで、電力を無駄なく使うことができ、結果として長期的なコスト削減にもつながります。
蓄電池のデメリット
蓄電池には多くの利点がありますが、導入にあたって注意すべき点も存在します。
ここでは、導入前に知っておきたい主なデメリットをわかりやすく解説します。
導入コストが高い
蓄電池の導入には、まとまった費用がかかるという課題があります。
家庭用蓄電池の相場は、設置費用を含めて100万円以上になることが多いです。
そのため、初期費用は決して安くなく、すぐに電気代の節約効果を実感しにくい点が難点です。ローンを利用すると、月々の返済が家計の負担になる場合もあります。
また、蓄電池は単独で発電できないため、費用回収が難しいこともあります。
費用対効果を重視するなら、太陽光発電と組み合わせて自家消費を効率的に行うのがおすすめです。
初期費用を抑えるには、複数の販売店で見積もりを比較し、自治体の補助金制度を活用するのが効果的です。
長期的に使えば元を取れる可能性もありますが、すべての家庭にお得とは限りません。導入前に費用対効果をしっかり確認することが大切です。
設置場所に制約がある
家庭用蓄電池の設置には、一定のスペースを確保する必要があります。
一般的にエアコンの室外機ほどのサイズがあり、容量が大きくなるとさらに大きくなる傾向があります。
最近は小型化が進んでいますが、それでも高温・低温を避け、結露しにくい環境に置くことが望ましいです。
屋内設置や屋外設置など、設置条件はメーカーごとに異なります。
そのため、事前に販売店や施工会社へ相談し、適した場所を確認することが大切です。
もしスペースの確保が難しい場合でも、小型タイプや一体型モデルを提案してもらえる場合があります。
設置場所の確認は、導入前に必ず行っておきましょう。
寿命によって買い替えが必要になる
蓄電池には寿命があり、いずれは買い替えが必要になります。
これは、蓄電池が充電と放電を繰り返すたびに、少しずつ劣化していくためです。
スマートフォンのバッテリーと同じように、使用を重ねるほど蓄えられる電気の量が減っていきます。
一般的な寿命は10〜15年とされていますが、メーカーや製品の種類によっても変わります。
また、メーカーによって保証期間や充放電回数の目安が異なるため、事前に比較して選ぶことが大切です。
長く使いたい場合は、耐久性や保証が充実した機種を選びましょう。
蓄電池が必要な人の特徴
蓄電池は、生活スタイルや住まいの環境によって必要性が変わります。
以下では、蓄電池の導入を検討すべき人の特徴を紹介します。
太陽光パネルを導入している
既に太陽光パネルを設置している人は、蓄電池を使うことで電気代をさらに節約できます。
日中に発電した電気を蓄電池にためておけば、ためた電気を夜間や朝にも活用可能です。
特に日中に家を空けがちな人にとっては、電気を無駄なく使えるというメリットがあります。
効率よく自家消費ができるため、節約効果も自然と高まっていくでしょう。
オール電化の家に住んでいる
オール電化住宅に住んでいる方には、蓄電池の導入がおすすめです。
オール電化住宅ではガスを使わず、調理や給湯をすべて電気でまかなうため、電気代の負担が大きくなりがちです。
電力会社の料金プランによっては、深夜の電気代が昼間より大幅に安くなることがあります。
そのため、深夜は蓄電池へ電気をためておき、電気代が高い昼間に深夜にためた電気を使うことで、電気代を節約できます。
災害時に自宅避難を想定している
災害時に自宅で避難する予定の人には蓄電池が役立ちます。
停電しても、太陽光発電と蓄電池があれば、照明や冷蔵庫、テレビ、ラジオなど必要な家電が動くため安心です。
特に、介護が必要な家族がいる場合は自宅避難が増えるため、電力の確保が重要になります。
蓄電池の残量を管理しながら使えば、医療機器も非常時に使うことが可能です。
蓄電池があれば、快適な避難生活を支える電力を確保できます。
蓄電池が不要な人の特徴
蓄電池の導入はすべての人に必要というわけではありません。
ここでは蓄電池が向いていないと考えられる人の特徴を説明します。
太陽光発電を導入していない(蓄電池単体での導入を考えている)
家庭用蓄電池は、太陽光発電と組み合わせないと十分な効果が得られません。
なぜなら、太陽光発電がない場合、蓄電池にためる電気を電力会社から購入することになるからです。
そのため、電気代の節約効果は小さく、夜間の安い電気を使うプランでも限界があります。
また、蓄電池の初期費用も高いため、単独導入はコスト回収が難しい点に注意が必要です。
家に蓄電池の設置スペースがない
蓄電池は設置スペースが十分に必要です。狭い場所に設置してしまうと、蓄電池の性能低下や寿命が短くなるリスクがあります。
例えば、マンションや敷地の狭い戸建てでは設置場所が限られ、蓄電池を無理に置くと通気性が悪くなります。
さらに、スペース不足で基礎工事が必要になると費用が増え、メリットが小さくなります。
家にあまりおらず、電気使用量が少ない
家庭用蓄電池は電気を多く使う家庭で効果が高いです。
家にあまりいなくて電気使用量が少ない人はメリットが小さくなります。
昼間に家を空ける共働きや単身赴任、一人暮らしは蓄電池の電気を使い切れず導入コストの回収が難しいため、導入には向いていません。
よくある質問
蓄電池に関して、多くの方が気になるポイントについてQ&A形式でまとめました。
蓄電池だけでどれくらいの電気をまかなえますか?
蓄電池がまかなえる電力量は、蓄電池の容量と使う家電の種類によって大きく変わります。
11~16kWh程度の家庭用蓄電池であれば、以下の機器などを使う場合、約24時間は使い続けることが可能です。
- 照明
- 冷蔵庫
- エアコン
- スマートフォンの充電器
ただし、長時間の停電すべてをカバーするのは難しいため、節電しながら使うのがおすすめです。
必要な機器だけをこまめにオン・オフし、無駄な電力消費を抑えれば、停電時でもより長く電気を使えます。
ご家庭の消費電力量や使用したい機器の消費電力をあらかじめ把握しておくと安心です。
電力会社やメーカーが提供するシミュレーターを活用して、実際にどれくらいの時間まかなえるかを確認してみてください。
蓄電池を引っ越し先に持っていくことはできますか?
蓄電池は引っ越し先に持っていけますが、設置には注意が必要です。
移設には専門業者による工事が必要で、費用や手間がかかります。また、新居の電気設備や設置スペースが整っていない場合、設置できないこともあります。
そのため、引っ越し前に新居の状況を確認し、専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ
家庭用蓄電池は、節電や災害対策に役立つ設備です。
特に太陽光発電を導入している家庭や、電気代の高騰に悩む人には効果的です。
一方、太陽光発電がなく設置スペースに余裕がない場合は、蓄電池の導入メリットが少ないこともあります。
あなたの暮らしに合った選択が、安心や節約につながります。
ぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか。