
固定価格買取制度(FIT)が終了し、売電収入が大きく減ったことで「せっかくの太陽光発電をもっと有効に使いたい」と考える方が増えています。
余った電気を安く買い取られる現状では、自家消費を高める仕組みを取り入れることが重要になっています。
その有力な選択肢が家庭用蓄電池です。電気を貯めて必要なときに使うことで、電気代の削減だけでなく、停電や災害時の備えにもなります。
とはいえ、実際に導入を検討すると「設置工事はどのように進むのか」「費用はどのくらいかかるのか」「補助金は受けられるのか」といった疑問が次々に浮かび、不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、蓄電池の導入を検討する方に向けて、設置工事の流れや費用の内訳、最新の補助金情報、そして工事業者を選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
特に卒FITを迎えた方にとっては、余剰電力を賢く活用する方法が見えてきますので、読み終えるころには安心して導入を検討できるようになるはずです。
蓄電池を設置するメリットは?
蓄電池を導入することで得られるメリットは、大きく3つに分けられます。
経済的な効果に加え、停電時の安心や新しい電気の使い方が可能になる点も魅力です。
ご自身の目的に合わせて確認してみましょう。
光熱費の削減につながる
蓄電池を使うと、電気代を節約できます。
たとえば太陽光発電がある家庭では、昼間に発電した電気を蓄電池に貯め、夕方から夜に利用することで電力会社から買う電気を減らせます。これにより、光熱費の削減につながります。
一方、太陽光発電がない家庭でも、夜間の安い電気をためて昼間に使う方法があります。
昼間の電気料金との差額分だけ、毎月の電気代を抑えることが可能です。
特に、太陽光発電の売電価格が下がる「卒FIT」の家庭にとっては、売るよりも自家消費した方が経済的に有利になるため、蓄電池の活用は大きな効果を発揮します。
停電や災害時の安心を確保できる
蓄電池を設置しておけば、停電や災害が起きても必要な電気を使い続けられます。
停電時でも、テレビやスマートフォンを充電して情報を得たり、冷蔵庫や電子レンジを動かして食事を準備したりできます。
さらに、エアコンや照明を利用できれば、避難生活に近い環境を自宅で維持できるため、心強い備えになります。
また、太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、昼間に発電した電気をそのまま充電できるので、停電が長引いても電気を確保できます。
電気の自給自足に近い形を実現できる点が、大きな安心につながります。
電気自動車との組み合わせで新しい使い方ができる
電気自動車(EV)を所有している方、または購入を検討している方には「V2H(Vehicle to Home)」という使い方があります。
V2Hを導入すると、EVに搭載されている大容量のバッテリーを家庭用電源として利用できます。
一般的な家庭用蓄電池よりも大きな電力を供給できるため、停電時でも家全体の電気を数日間まかなうことが可能です。
EVを「走る蓄電池」として活用できる点は、これからの時代ならではの新しいメリットです。
蓄電池の導入が向かないケース
蓄電池には多くのメリットがありますが、すべての家庭に最適というわけではありません。
導入したものの思ったほど効果を感じられない場合もあるため、向かないケースを知っておくことが大切です。
現状の電気代がそれほどかかっていない人
電気使用量が少ない家庭では、もともと毎月の電気代が抑えられています。
そのため、蓄電池を使って節約をしても、削減できる金額は大きくありません。
結果として、導入にかかるコストに対して十分な効果を実感しにくくなります。
初期費用の捻出が難しい人
蓄電池を導入するには、一定の初期費用が必要です。
もし資金面で余裕がない状態で無理に購入してしまうと、電気代の削減メリットよりも「出費の負担」の方を強く感じてしまう可能性があります。
安心して使い続けるためには、家計への影響を十分に考えてから検討することが重要です。
蓄電池設置工事の流れを知ろう
蓄電池の設置工事は専門的な電気工事を伴い、適切なプロセスを経る必要があります。
工事の流れを事前に把握しておくことで、当日の段取りがイメージしやすくなり、不安を減らして安心して蓄電池の設置を進めることができます。
蓄電池設置工事の一般的な流れは次のとおりです。
- 現地調査・プランニング
- 設置場所の決定・基礎工事
- 機器設置・電気配線工事
- 試運転・初期設定
- 完了検査・引き渡し
設置工事の標準的な所要時間
蓄電池の設置工事にかかる標準的な時間は以下のとおりです。
- 基礎工事:2〜4時間
- 蓄電池本体・パワーコンディショナーの取り付け:2〜3時間
- 電気配線工事:1〜2時間
- 試運転・初期設定:1時間程度
これらを合わせると、基本的には1日(5〜7時間程度)で完了することが多いですが、設置環境や機種によっては2日に分けて行われることもあります。
特にコンクリート基礎を新たに打設する場合は、硬化時間が必要なため、基礎工事と機器設置が別日程になることが一般的です。
工事前の準備と確認事項
スムーズな工事を進めるためには、事前の準備と確認が重要です。
以下のポイントを工事の前に確認しておきましょう。
設置場所の検討
蓄電池本体は大きさや重さがあります。
標準的な家庭用蓄電池はエアコン室外機より一回り大きく、重量も100〜200kg以上あるため、設置場所の床面強度やスペースに余裕があるか確認が必要です。
また、直射日光や雨風を避けられる場所が望ましく、多くの場合は屋外の軒下や北側などが選ばれます。
電気配線の経路確認
蓄電池から分電盤までの配線経路も重要です。
壁を貫通させたり、床下や天井裏を通したりする場合もあるため、住宅の構造や既存設備の位置関係を確認しておくと、工事当日がスムーズに進みます。
工事業者の選定
蓄電池工事には電気工事士の資格が必要です。
また、多くのメーカーは自社製品の取り付けに関して専門の講習を実施しており、その修了者(指定工事店)に施工を依頼するのが安心です。
業者選びの際には、施工実績、アフターサービス体制、工事保証内容なども重要な判断材料となります。
蓄電池設置の具体的なステップ
蓄電池設置工事は、いくつかのステップに分けて進められます。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
STEP1:現地調査と設計
工事の第一歩は、設置場所や住宅環境の確認を行う現地調査です。
業者が訪問し、以下のような項目をチェックします。
- 蓄電池本体やパワーコンディショナーの設置場所
- 分電盤の状態と空きブレーカーの有無
- 配線経路や配管の必要性
- 特定負荷(停電時に電力を供給したい回路)の選定
- 既存太陽光発電システムとの接続方法
現地調査の結果をもとに、最適な設置プランと見積りが作成されます。
この段階で工事内容や費用について不明点があれば質問し、納得してから契約に進みましょう。
必要に応じて、電力会社への系統連系申請も行われます。特に太陽光発電と連携させる場合、出力制御対応などの手続きが必要になることがあります。
申請から許可までに時間がかかることもあるため、設置工事の日程調整にはこの点も考慮されます。
STEP2:基礎工事
蓄電池は重量物のため、安定した基礎の上に設置する必要があります。
基礎工事には主に以下のような方法があります。
コンクリート基礎
地面にコンクリートを打設し、硬化させてから蓄電池を設置します。最も安定性が高く、多くのメーカーが推奨する方法です。施工には以下のような手順で行われます。
- 設置場所の整地
- 型枠の設置
- コンクリートの打設
- 養生(1日以上)
- アンカーボルトの固定
コンクリート基礎は養生期間が必要なため、通常は基礎工事と機器設置を別日に分けて行います。
置き基礎
既製のコンクリート平板やブロックを利用する方法です。地面の状態が良好であれば、短時間で基礎を完成させることができます。
- 設置場所の整地
- 水平を確認しながらコンクリート平板を設置
- 必要に応じて複数枚を組み合わせる
置き基礎の場合、同日中に蓄電池本体の設置まで進められることが多いです。
基礎工事は蓄電池を長期間安定して使用するための土台となる重要な工程です。
地盤の状態や製品の仕様に合わせて、最適な基礎工事方法が選ばれます。
STEP3:機器の設置と配線工事
基礎が完成したら、いよいよ蓄電池本体とパワーコンディショナーなどの機器を設置し、配線を行います。
蓄電池本体の設置
重量物である蓄電池本体は、複数の作業員で慎重に運搬・設置します。
基礎上に正確に配置し、アンカーボルトやベースを使ってしっかりと固定します。
設置後は水平が保たれているか確認し、必要に応じて調整が行われます。
パワーコンディショナーの設置
蓄電池システムには、電力を制御するパワーコンディショナー(パワコン)が必要です。
既存の太陽光発電と連携する場合、機種によって以下のようなタイプがあります。
- ハイブリッド型:太陽光発電と蓄電池を一台のパワコンで制御
- 単機能型(AC連系型):蓄電池専用のパワコンを太陽光発電とは別に設置
パワコンは通常、屋外の壁面に専用の取付金具を使って設置されます。
分電盤・特定負荷分電盤の設置
停電時にも使用したい回路を分離するため、特定負荷用分電盤が設置されることがあります。
既存の分電盤近くに新しい分電盤を取り付け、選定した回路を接続します。
全負荷型の場合は家全体をバックアップできるよう、専用の切替装置が設置されます。
電気配線工事
蓄電池、パワコン、分電盤を電気ケーブルで接続します。配線は以下のような経路で行われます。
- 蓄電池から専用ケーブルでパワコンへ接続
- パワコンから分電盤へ接続
- 特定負荷分電盤から各回路への接続
- アース(接地)線の敷設
屋外から屋内への配線には、防水性を確保するための配管工事が行われることもあります。
壁に穴を開ける場合は、雨水の侵入や外観に配慮した処理が必要です。
配線工事の際には、一時的に停電作業が必要になることがあります。
事前に施工業者から説明があり、日中の短時間(30分〜1時間程度)で行われるのが一般的です。
STEP4:試運転と動作確認
機器の設置と配線が完了したら、システムの初期設定と試運転を行います。
主な内容は以下のとおりです。
初期設定
蓄電システムの設定には、使用目的に応じたいくつかのモードがあります。
- 経済モード:電気料金の安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電
- 自家消費モード:太陽光の余剰電力を優先的に充電
- グリーンモード:CO2排出量の少ない時間帯に充電
お住まいの生活パターンや目的に合わせて最適なモードが設定されます。
また、設置したモニターやリモコンの時刻設定、ネットワーク接続なども行われます。
動作確認
設定後は正常に動作するか確認するため、以下のようなテストを行います。
- 系統連系運転の確認(通常時の動作確認)
- 自立運転の確認(停電時を想定した動作確認)
- 充放電動作の確認
- 保護機能(過充電防止など)の確認
- モニターやアプリでの表示確認
すべての動作確認が完了し、問題がなければ施工業者から操作方法や注意点について説明を受けます。
この際、取扱説明書やメンテナンス方法、保証書なども併せて受け取ります。
不明点があれば、この段階で質問しておくと良いでしょう。
蓄電池の設置場所選びのポイント
蓄電池の性能を長期間維持し、安全に使用するためには、適切な設置場所の選定が重要です。
屋外設置と屋内設置それぞれの条件と注意点を確認しましょう。
屋外設置の条件と注意点
多くの家庭用蓄電池は屋外設置が基本となっています。
屋外に設置する際のポイントは以下のとおりです。
日当たりと温度
蓄電池は高温に弱い特性があります。
直射日光が長時間当たる場所や、熱がこもりやすい場所は避けるべきです。
南向きの壁際よりも、東・北・西側の壁際や軒下が推奨されます。
特に夏場の温度上昇を考慮して、風通しの良い場所を選びましょう。
雨風からの保護
家庭用蓄電池は防水・防塵性能を備えていますが、長期間の使用を考えると、強い雨風を直接受ける場所は避けた方が無難です。
軒下や庇のある場所、または専用のカバーを設置できる場所が望ましいでしょう。
浸水リスクの回避
蓄電池は水没に弱いため、大雨時に水たまりができる場所や、低地は避けてください。
台風や集中豪雨による浸水リスクがある地域では、少し高い場所に設置するなどの対策が必要です。
屋内設置の可能性と条件
一部の蓄電池は屋内への設置も可能です。
屋内設置を検討する場合は、以下の条件を確認しましょう。
換気と温度管理
屋内設置の場合、特に換気が重要です。使用中に微量の熱が発生するため、密閉された空間ではなく、空気の流れがある場所が適しています。
ガレージや物置、ユーティリティスペースなどが一般的です。
設置スペースと床の強度
蓄電池の大きさと重量に耐えられるスペースと床の強度が必要です。
一般的な家庭用蓄電池は幅70cm×奥行30cm×高さ120cm程度、重量100〜200kg以上ある場合もあるため、十分な強度を確保してください。
蓄電池設置工事の費用と内訳
蓄電池を導入するうえで最も気になるのが費用です。
導入には蓄電池本体の価格だけでなく、設置工事費用も含まれます。
この章では、最新の費用相場と内訳を解説し、見積もりを比較するときの注意点も紹介します。
【2025年最新】導入に必要な総額の目安(本体+工事費)
2025年時点での蓄電池導入費用は、蓄電容量1kWhあたり約15万円〜20万円が目安です。
一般的な家庭に多い4〜12kWhの蓄電池を導入する場合、総額で80万円〜220万円程度が相場となります。
実際の容量別の目安は次のとおりです。
- 4〜5kWh:80万円〜120万円(夫婦2人暮らしなど電力使用量が少ない家庭向け)
- 6〜8kWh:110万円〜160万円(3〜4人家族の標準的な家庭向け)
- 9〜12kWh:140万円〜220万円(大家族や二世帯住宅向け。停電時にも安心)
このように家庭の人数や使用電力量によって、必要な容量と費用が変わります。
費用内訳①:蓄電池本体や周辺機器にかかる費用
総費用の多くを占めるのが蓄電池本体と周辺機器です。
特に蓄電池本体は容量(kWh)が大きいほど価格が高くなります。
主な機器は次のとおりです。
- 蓄電池ユニット:電気をためるバッテリー部分
- パワーコンディショナ(パワコン):直流の電気を家庭で使える交流に変換する機器
太陽光発電をすでに設置している家庭では、既存のパワコンと連携できる「単機能型」か、太陽光と蓄電池をまとめて制御する「ハイブリッド型」を選ぶことになります。
費用内訳②:設置工事費用(基本工事費+追加費用)
蓄電池を導入する際には、本体代だけでなく工事費も必要になります。
工事費の相場を理解し、追加費用が発生するケースも知っておくことが、予算を正しく把握するために重要です。
設置工事にかかる基本的な費用は、30万円〜40万円程度が目安です。
主な内容は次のとおりです。
- 基礎工事:蓄電池を設置するために地面をコンクリートで固める工事
- 機器設置工事:蓄電池本体やパワーコンディショナを運び込み、固定する作業
- 電気配線工事:蓄電池、パワコン、分電盤などをケーブルで接続する専門的な工事
ただし、条件によっては追加費用がかかる場合があります。具体的には次のようなケースです。
- 特殊な基礎工事が必要な場合
地盤が弱い場所や傾斜地、特殊な形状の敷地では、標準工事では対応できず追加費用が発生します。 - 長距離配線や特殊配線が必要な場合
蓄電池の設置場所と分電盤が離れている場合や、床下・天井裏などを経由する特殊な配線が必要な場合に費用が増えます。 - 既存設備の改修が必要な場合
古い分電盤や電気配線のままでは安全に設置できないケースがあり、改修工事が追加されることがあります。
このように、工事費は「基本費用+追加費用」で構成されるため、見積もりの際には工事内容を詳細に確認し、総額で比較することが大切です。
見積もりを総額で比較すべき理由
蓄電池の見積もりを比較するときは、必ず「本体代+工事費」の総額で確認する必要があります。
なぜなら、一部の業者は工事費を安く見せかけ、機器本体の価格に上乗せして、最終的な総額を割高にしている場合があるからです。
見積もり項目の設定方法は業者によって自由度が高いため、部分的な価格ではなく全体の費用を確認することが重要です。
複数の業者から見積もりを取り、総額を公平に比較することで、適正な価格で導入できる可能性が高まります。
蓄電池設置で利用できる補助金制度(2025年版)
蓄電池を導入する際には、本体や工事の費用が高額になるため、補助金を活用することが大きな助けになります。
本章では、2025年時点で利用できる「国の補助金制度」と「自治体の支援制度」について紹介します。
国の補助金制度
国は、再生可能エネルギーや省エネ設備の普及を目的として、蓄電池や太陽光発電、電気自動車の導入に対して補助金制度を提供しています。
これらの制度を活用することで、導入費用の負担を軽減し、家庭での電力活用を効率的に進めることができます。
2025年時点で代表的な補助金は以下の通りです。
- 子育てグリーン住宅支援事業
一戸あたり64,000円が支給され、太陽光発電や蓄電池などの省エネ設備が対象となります。
- DR補助金
1kWhあたり37,000円、上限60万円まで補助され、家庭用蓄電池が対象です。
これらの補助金を受けるには、太陽光発電の併設や蓄電池の性能基準など、各制度ごとの条件を満たす必要があります。
また、予算枠には上限があり、申請は早期に締め切られることもあるため、最新情報を必ず公式サイトで確認してください。
万一、年度内に申請受付が終了していても、翌年度に備えて早めに準備を進めておくことが安心につながります。
自治体ごとの支援金制度
国の補助金とは別に、都道府県や市区町村が独自に蓄電池への補助を行っている場合もあります。
自治体によって金額や条件は大きく異なりますが、中には非常に手厚い補助を受けられるケースもあります。
例えば、東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」という制度があり、家庭用蓄電池の導入に対して高額な補助を受けられることがあります。
調べる際には、インターネットで 「(お住まいの自治体名) 蓄電池 補助金」と検索するか、補助金に詳しい業者へ確認すると効率的です。
さらに、国の補助金と自治体の補助金は併用できる場合が多く、組み合わせることで負担を大きく減らせます。
優良業者の選び方
蓄電池の性能を最大限に発揮し、長期間安全に使用するためには、信頼できる工事店選びが非常に重要です。
確認すべき資格と実績
信頼できる工事店かどうかを判断するための、確認すべき資格や実績は以下のとおりです。
電気工事士資格の保有
蓄電池の設置には電気工事士の資格が必須です。特に第一種電気工事士は高圧電気工事にも対応できる上位資格であり、より複雑な工事も安全に行えます。
メーカー認定の指定工事店か
多くの蓄電池メーカーは、自社製品の施工に関する専門研修を実施し、合格した業者を「指定工事店」や「認定施工店」として認定しています。
太陽光発電の施工実績
蓄電池は太陽光発電と組み合わせて使用されることが多いため、太陽光発電システムの施工実績が豊富な業者が望ましいです。
保証・アフターサービスの比較ポイント
長期間使用する蓄電池システムでは、導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。
工事保証の内容と期間
施工に関する保証期間とその内容を確認しましょう。一般的には1〜3年程度の工事保証が付されることが多いですが、業者によって異なります。
メンテナンスプランの有無
定期的な点検やメンテナンスサービスを提供している業者もあります。長期使用を考える場合、このようなアフターサービスが充実している業者を選ぶと安心です。
よくある質問と回答
Q: 既存の太陽光発電に蓄電池を後付けできる?
A: はい、既存の太陽光発電システムに蓄電池を後付けすることは可能です。
ただし、いくつかの確認事項があります。
既存の太陽光発電のメーカーや型式によって、組み合わせ可能な蓄電池システムは異なります。
特に古いタイプの太陽光発電システムの場合、最新の蓄電池との互換性がない場合もあるため、事前確認が必要です。
蓄電池の追加方法には、大きく分けて以下の2種類があります。
- ハイブリッド型(パワコン一体型): 既存の太陽光パワコンを蓄電池対応のハイブリッドパワコンに交換する方法
- AC連系型(単機能型): 既存の太陽光パワコンはそのままで、蓄電池専用のパワコンを別途設置する方法
Q:蓄電池は停電時でも使える?使えるコンセントは?
A: はい、多くの家庭用蓄電池システムは停電時にも電力を供給できます。
ただし、使用できるコンセントや回路には制限があります。
蓄電池システムには「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があります。
特定負荷型
停電時に電力を供給できるのは、あらかじめ指定した特定の回路(特定負荷)のみです。
設置時に、冷蔵庫やリビングの照明など、停電時に優先して使いたい電気機器がある回路を選び、特定負荷分電盤に接続します。
全負荷型
停電時でも家中のすべてのコンセントや照明が使用可能です。
ただし、蓄電池の容量には限りがあるため、使用する機器を適切に制限することが重要です。
Q: 蓄電池設置後に発生するメンテナンス費用は?
A:家庭用のリチウムイオン蓄電池は、基本的に定期的なメンテナンスを必要としません。
そのため、設置後に大きな維持費が発生する心配はほとんどありません。
ただし、安心して長く使うためには「メーカー保証」の内容を確認しておくことが大切です。
多くの製品では10年〜15年程度の保証がついており、万一の故障や性能低下に対応できるようになっています。
注意したいのは、メーカーが推奨しない使い方をすると保証対象外になる点です。
その場合は修理費用が高額になる可能性もあるため、取扱説明書を守って使用することが重要です。
Q: 蓄電池設置に必要な申請や届出は誰が行う?
A: 設置に必要な申請や届出は、基本的に設置業者が代行してくれます。
そのため、利用者が自ら書類を準備したり、役所や消防署へ手続きを行ったりする必要はほとんどありません。
ただし、消防法に基づき、一定の容量を超える蓄電池を設置する場合は消防署への届出が必要になるケースがあります。
その場合も、通常は業者がまとめて対応してくれるため、利用者は安心して任せられます。
業者を選ぶ際には「法的な手続きや申請に慣れているか」「補助金申請のサポート実績があるか」といった点を確認すると、より安心です。
まとめ:安心・安全な蓄電池設置のために
蓄電池設置工事は、専門知識と技術が必要な作業です。
安全で効果的な設置を実現するためには、信頼できる業者選びから始め、設置場所や工事内容、補助金情報をしっかり確認しておくことが大切です。
工事の流れを理解し、事前の準備や確認を怠らないことで、スムーズな導入が可能になります。
また、導入後のメンテナンスや使い方についても施工業者からしっかり説明を受け、長期間にわたって蓄電池のメリットを最大限に享受しましょう。
卒FIT後の太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、電気代削減や災害時の備えとして非常に有効です。
本記事が皆様の蓄電池導入の一助となれば幸いです。