
「ポータブル蓄電池」という言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的にどのようなものかご存じでしょうか。
ポータブル蓄電池は、持ち運びできる便利な蓄電池で、近年、防災対策やアウトドアでの需要が高まっています。
しかし、「種類がたくさんあって、どれを選べば良いか分からない」「購入費用は安くないから、補助金があれば利用したい」と考えている人もいるかもしれません。
この記事では、ポータブル蓄電池の基本的な知識から、価格相場、そして補助金制度について詳しく解説します。
各地方自治体の補助金制度もご紹介するので、お住まいの地域で利用できる補助金が見つかるかもしれません。
補助金を活用してお得にポータブル蓄電池を手に入れるための注意点も解説しているので、ぜひ最後まで読んで、蓄電池選びの参考にしてください。
ポータブル蓄電池とは?
まず最初に、ポータブル蓄電池の特徴や活用できる場面をわかりやすく解説します。
定置型蓄電池と比べたポータブル蓄電池の特徴
家庭用の蓄電池には「定置型」と「ポータブル型」の2種類があります。
定置型は家の決まった場所に設置し、太陽光発電などと組み合わせて電気をためて使うのが一般的です。
容量が大きいため、停電が起きても家中の多くの家電製品を長時間動かせるメリットがあります。
ただし、設置には専門業者による工事が必要で、設置場所を変更することはできません。
また、設置費用やスペースも考慮する必要があります。
一方、ポータブル蓄電池は持ち運びに便利な軽量タイプで、コンパクトなモデルが多いのが特徴です。
容量は定置型に比べると小さく、一般的には200〜3,000Wh程度のものが多いです。
そのため、スマートフォンの充電や小型のライト、ポータブル冷蔵庫などの電源として使われることが多いです。
大きな家電を長時間使うには向いていませんが、好きな場所に持ち運んで使える自由さが大きな魅力です。
ポータブル蓄電池の活用例
ポータブル蓄電池は、その持ち運びやすさを活かして、さまざまなシーンで使われています。
代表的な活用例の一つがアウトドアやキャンプです。
スマートフォンやカメラ、LEDライト、ポータブル冷蔵庫など、複数の電子機器を充電しながら使うことができます。
電源がない場所でも手軽に電気を使えるため、自然の中での活動にとても役立ちます。
また、災害時の停電対策としても重要な役割を果たします。
停電が長引くと通信手段の確保が難しくなりますが、ポータブル蓄電池があればスマホやラジオの充電が可能です。
大容量のポータブル蓄電池であれば冷蔵庫や電子レンジなどの家電も利用することができます。
これにより、災害時でも安心して生活を送ることができます。
さらに、屋外イベントや移動販売、工事現場など、電源が確保しにくい環境でも使われています。
ポータブル蓄電池は、必要な場所に持ち運べてすぐに使えるため、多用途に活用できる便利な電源機器です。
家庭内だけでなく、外出先や緊急時にも役立つため、ひとつ持っておくと安心です。
ポータブル蓄電池の価格相場と性能をチェック
ポータブル蓄電池は、価格帯によって性能や使い道が大きく異なります。
そのため、自分の目的に合ったものを選ぶには、価格ごとの特徴を知ることが大切です。
本章では、3万円台から30万円台までのポータブル蓄電池について、容量や出力、重さなどの違いを解説します。
3〜5万円のポータブル蓄電池
3〜5万円の価格帯では、150〜300Whほどの容量を備えたコンパクトなモデルが多くなります。
スマートフォンの充電や小型ライトの使用、キャンプや車中泊など、ライトな用途にぴったりです。
重さも2〜5kg程度と軽量で、持ち運びがしやすいのが魅力です。
出力ポートもUSBやACなど必要最低限が備わっており、ソーラーパネル対応モデルも一部見られます。
気軽に使える価格帯なので、ポータブル蓄電池を初めて購入する人にもおすすめです。
5〜10万円のポータブル蓄電池
5〜10万円になると、400〜700Wh前後の中容量タイプが主流です。
スマホやノートパソコン、扇風機、小型の炊飯器など、複数の家電を同時に使いたい場面に対応できます。
出力ポートの種類も増え、AC・USB・シガーソケットなどの充実した構成のモデルが増えています。
重さは5〜10kgほどで、容量が大きい分、持ち運びの際には多少の工夫が必要になるかもしれません。
日常使いから防災対策まで、幅広いシーンで活躍できるバランスの取れた価格帯です。
20万円台のポータブル蓄電池
このクラスになると、1,000Whを超えるような大容量タイプが多くなります。
冷蔵庫や電子レンジなどの大型家電にも対応できるため、災害時の備えや停電時の電力確保にも心強い存在です。
一方で、重さは20kg以上のものがほとんどで、持ち運びは簡単ではありません。
しかし、キャスター付きモデルや取っ手付きの工夫された製品が多く、家庭内での移動は可能です。
定置型に近い性能を持ちながら、設置工事が不要で使いやすい点も魅力です。
30万円台のポータブル蓄電池
30万円を超えると、家庭用の定置型蓄電池に匹敵するスペックの製品も登場します。
2,000Wh以上の大容量に対応しており、テレビ・冷蔵庫・電子レンジ・電気ストーブなど、生活に必要な家電を一通り使うことができます。
業務用冷蔵庫や医療機器など、企業や施設での非常用電源としても活用されることがあるほ
ど高性能です。
重量は30〜40kg以上になるため、基本的には常設利用を想定したモデルが多くなります。
非常時の備えをしっかり整えておきたい人にとっては、安心感のある選択肢と言えるでしょう。
ポータブル蓄電池に関する国の補助金
現在、ポータブル蓄電池には、国からの補助金は設けられていません。
過去には中小企業向けを対象とした補助金を設けていたこともありますが、個人がポータブル蓄電池だけを購入する目的では使えないのが現状です。
補助金の多くは自治体が実施しています。
個人で活用したい場合は、次に紹介する自治体の補助金制度をチェックするのがおすすめです。
ポータブル蓄電池に関する自治体の補助金
本章では、2025年現在で補助制度を設けている自治体の一覧を紹介します。
対象となる機器や補助の条件は自治体ごとに異なるため、事前に内容を確認しておくと安心です。
購入を決める前に、自分が住んでいる地域や購入予定の自治体で補助金があるかをチェックしてみましょう。
自治体名 | 制度名 | 対象機器・条件 | 補助額・補助率 |
東京都 江戸川区 | 気候変動に備え、脱炭素を目指す補助金 | 400Wh以上、可搬型、AC出力対応、新品、ポータブル太陽光発電パネルを利用して充電可能 | 一律10,000円 |
静岡県 下田市 | 下田市家庭用ポータブル発電機等購入費補助金 | AC出力対応、新品
| 購入費の1/2以内, 補助上限額40,000円
|
静岡県 川根本町 | 家庭用ポータブル蓄電池等購入費補助金 | 1,000Wh以上、可搬型、AC出力対応、太陽光充電対応、新品 | 購入費の1/3以内、補助上限額50,000円 |
山梨県 昭和町 | 昭和町家庭用ポータブル発電機等購入費補助金 | AC出力対応、新品 | 購入費の1/2以内、上限20,000円 |
山形県 朝日町 | 朝日町家庭用ポータブル蓄電池購入支援 | AC出力対応、新品 | 購入費の1/5以内、上限50,000円 |
愛知県 豊根村 | 災害対策支援補助金(ポータブル蓄電池購入費) | ポータブル蓄電池全般 | 購入費の1/2以内、20,000〜50,000円 |
和歌山県 広川町 | 家庭用ポータブル蓄電池購入補助金 | 可搬型、AC出力対応、新品 | 購入費の1/2以内、 上限200,000円 |
このように、ポータブル蓄電池への補助金制度は全国に広がりつつあります。
特に災害対策や脱炭素の取り組みとして、各地で制度が整備されてきているのが特徴です。
ただし、申請には条件が設けられていることが多いため、購入前に要件をよく確認することが大切です。
ご自身の住んでいる地域でも補助金制度が設けられている可能性がありますので、自治体の公式サイトなどで最新情報を確認してみてください。
補助金申請時の注意点
補助金を活用するには、いくつかの重要なポイントを事前に押さえておく必要があります。
本章では、申請時に失敗しないために注意すべき点をわかりやすく解説します。
申請方法は購入前に必ず確認する
補助金を受け取るためには、購入前に申請が必要なケースが多くあります。
事前の申請を忘れて購入してしまうと、補助金の対象外になる可能性があります。
そのため、購入を決める前に、申請方法や必要書類を必ず確認しておくことが大切です。
後から後悔しないよう、準備段階で情報をしっかり集めておきましょう。
購入予定のポータブル蓄電池が補助金対象か確認する
すべてのポータブル蓄電池が補助金の対象になるわけではありません。
容量や出力形式、太陽光充電への対応など、自治体ごとに細かい条件が設定されています。
補助金をもらうつもりで購入したのに、「要件を満たしていなかった」と後から気づいても、申請が通らない可能性があります。
このようなトラブルを避けるためにも、購入前の段階で補助対象の要件と製品の仕様を照らし合わせて確認することが重要です。
補助金を無駄にしないためにも、説明書やメーカーサイトを確認したり、自治体に直接問い合わせたりして、慎重に製品を選びましょう。
公募期間内・予算上限に達する前に申請する
補助金には、申請できる期間や予算の上限が設定されていることがあります。
その場合、条件を満たしていても、申請期間を過ぎたり、予算が使い切られてしまうと補助金を受け取れません。
一方で、予算の上限が明記されていない制度もありますが、予算状況によって早めに受付を終了するケースも少なくありません。
そのため、補助金の利用を考えているなら、できるだけ早く申請する準備を始めることが大切です。
スケジュールや受付状況を確認しながら、余裕をもって手続きを進めましょう。
まとめ
この記事では、ポータブル蓄電池の基本的な情報から、価格帯ごとの特徴、そして購入時に役立つ補助金制度について詳しく解説しました。
ポータブル蓄電池は、アウトドアや災害時の備えとして非常に有効なアイテムです。
しかし、国からの直接的な補助金は現在は設けられておらず、お住まいの地方自治体が提供している補助金制度の情報を確認することが大切です。
補助金を利用する際は、申請期間や対象製品の条件、必要書類などを事前にしっかりと確認しましょう。
この記事で解説したポイントを参考にして、ご自身の使い方に合ったポータブル蓄電池を賢く選び、アウトドアや災害時の備えに役立てましょう!