
「太陽光パネルの撤去・処分がどのような手順で行われるのかを知りたい」「作業費用はどのくらいかかるの?」
自宅に太陽光パネルを設置している方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。
今回の記事では、「パネルを撤去・処分する手続き」「作業にかかる費用や注意点」などについて解説します。
太陽光パネルの撤去・処分を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
太陽光パネルを撤去するケース
太陽光パネルを撤去するケースは以下の通りです。
- パネルなどの交換を行うケース
- FIT(固定価格買取制度)終了や設備の老朽化などで運用を断念するケース
この章では、それぞれのケースについて解説します。
パネルなどの交換を行うケース
故障したパネルやパワーコンディショナ(発電した電力を住宅用に変換する装置)を交換する際は、パネルの撤去が想定されます。
パネルに不具合が発生した場合は、基本的に施工した業者によってパネルが撤去され、新しいパネルに交換されます。
パネルのメーカー保証が有効期間内であれば、撤去にかかる費用は必要ありません。
また、住宅のリフォーム・建て替えや、屋根の葺き替えなどを行う際も、パネルは撤去されることになります。
FIT(固定価格買取制度)終了や設備の老朽化などで運用を断念するケース
FIT(固定価格買取制度)の終了や設備の老朽化などが原因で運用を諦める場合も、パネルを撤去することになります。
太陽光発電は、FIT制度(電力会社が一定の価格で電力の買取を行うことを国が保証する制度)により普及が進みました。
しかし、FIT制度にも期限があり、住宅用の太陽光発電設備については導入から10年でFIT制度が適用されなくなります。
FIT制度終了後に売電収入が下がるのであれば、パネルの撤去を考える方もいるでしょう。
また、設備が経年劣化していたり、自然災害によって設備が被害を受けたりした場合も、パネルの撤去が必要になります。
太陽光パネルの一般的な耐用年数は17〜30年ほどとされています。
太陽光発電が普及し始めた2000年代にパネルを設置したのであれば、パネルの撤去が視野に入ってくるかもしれません。
太陽光パネルの撤去及び処分にかかる費用
太陽光パネルを撤去・処分する場合は、以下の費用が必要です。
- パネルの取り外し費用
- 足場費用
- パネルの運搬・処分費用
住宅で使用する太陽光パネル(10kW未満)を取り外す際は、10万円前後の費用がかかります。
パネルの取り外し作業で足場を組むのであれば、足場の設置及び撤去にかかる費用は700〜1,000円(1㎡あたり)です。
取り外し費用は、パネルの枚数、住宅の面積・形状などによって変わります。
また、パネルは産業廃棄物のため、取り外した後は産業廃棄物処理場まで運搬して処分してもらわなければなりません。
パネルの状態や処分する地域などによって異なりますが、運搬・処分にかかる費用は5〜10万円ほどです。
これらの費用を合計すると20万円程度となります。
太陽光パネルを撤去・処分する手続き
太陽光パネルを撤去・処分する手続きは、以下の流れで進行します。
- 太陽光パネルを撤去できる業者に連絡を入れる
- 費用の見積もりを取る
- 業者に撤去・処分してもらう
この章ではそれぞれのステップについて解説します。
①太陽光パネルを撤去できる業者に連絡を入れる
太陽光パネルを撤去する際は、パネルの撤去ができる専門業者に連絡を行いましょう。
パネルを取り外すには専門技術が必要となるため、以下のような業者に相談してください。
- パネルを購入した販売店
- パネルの取り付けを担当した施工業者
- 産業廃棄物処理業者
パネルには鉛・カドミウムといった有害物質が含まれるため、産業廃棄物として処理しなければなりません。
そのため、正式に認可された業者へ依頼し、適切に処分してもらいましょう。
太陽光発電協会(JEPA)は、パネルを適正に処理できる施工業者の一覧表を公開しています。
参照:使用済住宅用太陽電池モジュールの取外しおよび適正処理が可能な施工業者一覧表
また、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団のサイトでは、全国にある正式に認可された産業廃棄物処理業者を検索できます。
業者に連絡を入れる際は、これらのサイトも活用してみてください。
②費用の見積もりを取る
業者に連絡をした際は、撤去・処分費用の見積もりを取りましょう。
先ほど紹介した費用はあくまでも目安となるため、パネルの設置状況によっては実際の費用と差が出る場合もあるでしょう。
最低でも2〜3社から見積もりを取って費用を比べ、中央値を把握できれば、業者の提示費用が適正であるかを判断できます。
見積もりをする際は、複数の業者へ同時に依頼するのがおすすめです。
この方法であれば、1社ずつ費用を見積もりしてもらう方法よりも費用の比較がスピーディーに行えます。
パネルの撤去・処分には多くのコストがかかりますが、一番安い業者に作業を依頼するのは得策ではありません。
予算を気にしつつも、作業費用が適正かつ、作業内容が自分にマッチしている業者を選びましょう。
③業者に撤去・処分してもらう
数社から見積もりを取り、自分にマッチする業者を発見した後は、作業日程を調整した上で業者にパネルを撤去してもらいましょう。
撤去したパネルは、リユース、リサイクル、埋立処分のいずれかの方法で処分されます。
パネルをリユースする際は、太陽光パネルの買取を行う業者に依頼しなければなりません。
パネルに使われているガラス、アルミニウム、銅などのリサイクル可能な部品は、パネルの破砕などを経てリサイクルに回ります。
リサイクルができない部品については、地下汚染を防止する設備がついた最終処分場に埋め立てられることとなります。
撤去・処分は契約内容通りに進行するため、基本的には業者任せで問題ありません。
もし作業時に分からないことや疑問点があれば、都度業者に伝えるとよいでしょう。
太陽光パネルを撤去・処分する際の注意点
太陽光パネルを撤去・処分する際は、以下の点に注意しなければなりません。
- 誤った方法で処分すると処罰される
- 屋根の補修が必要になることがある
この章では、それぞれの注意点について解説します。
誤った方法で処分すると処罰される
自分で撤去作業をするなどし、太陽光パネルを適切でない方法で処分した場合、不法投棄として処罰の対象となります。
不法投棄の処罰内容は、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(もしくはその両方)です。
有害物質が含まれるパネルを処分する際は、粗大ごみなどの一般廃棄物ではなく、産業廃棄物として処理するよう定められています。
産業廃棄物の処理ができるのは認可を受けた事業者のみであるため、事業者以外が処理すると処罰の対象となるのです。
なお、パネルの撤去業者が産業廃棄物処理業者と連携しない場合も、不法投棄とみなされることがあります。
撤去業者を選ぶ際は、どのように処理を行っているかをよく確認しておきましょう。
屋根の補修が必要になることがある
パネル設置に伴い屋根が損傷していれば、パネルを撤去した後に屋根の修繕も必要です。
パネルを長期間にわたって設置していれば、パネルを固定する部分や、その周辺にある屋根材が損傷する可能性があります。
特に、パネルの土台を固定するために穴を開けていれば、穴の周辺が劣化して雨漏りするリスクがあります。
パネルを取り外した後は、屋根がどのような状態かを必ず確認し、必要であれば防水処理を行いましょう。
また、塗装されている屋根であれば、パネルを撤去した後に塗装の色むら・剥がれが気になることがあります。
塗装に問題があれば屋根の耐久性が落ちるため、屋根全体の再塗装を検討する必要があります。
屋根の修理はコストがかかり、屋根を全て補修する場合は修繕費が100万円を超えるかもしれません。
パネルの撤去・処分を行う際は、屋根の補修にどのくらいかかるかも確認しておきましょう。
まとめ
今回の記事では、「太陽光パネルを撤去するケース」「作業費用や手続き、注意すべきこと」について解説しました。
パネルの面積や状態などによって異なりますが、パネルを撤去・処分する際にかかる費用は20万円ほどです。
パネルの固定により屋根が損傷していれば、屋根の補修費用も追加で必要となります。
作業費用が高額になるからといって、自分で取り外すと不法投棄とみなされて処罰の対象となります。
そのため、施工業者や産業廃棄物処理業者などに連絡し、適切な手順で撤去・処分してもらいましょう。