
太陽光発電の売電先を変更を検討していて、「具体的にどんな手続きが必要?」「必要書類って何がいるの?」と悩んでいませんか?
特に卒FITを迎えた方にとって、太陽光発電の売電先の見直しは収入面や契約条件に関わる重要なポイントです。
この記事では、売電先を変更する際の手続きの流れや、メリット、必要書類、注意すべきポイントなどを解説します。
太陽光発電における売電先変更とは?
太陽光発電の売電先を変更できることをご存知でしょうか?
電力自由化により、発電した電気の「買い手」を自由に選べるようになりました。
多くの方は固定価格買取制度(FIT)の期間中、地域の電力会社に売電していたかと思いますが、FIT期間が満了した「卒FIT」後も売電を継続できます。
さらに、地域の電力会社だけでなく、新電力(電力自由化以降に参入した小売電気事業者)との契約も可能です。
「電気の購入先」と「売電先」は別の契約となるため、家庭で使う電気は地域の電力会社から買いながら、太陽光で発電して余った電力は新電力に売ることができます。
このように売電先を変更することで、さまざまなメリットが期待できるのです。
太陽光発電において売電先変更を検討すべきケース
太陽光発電の売電先を変更するタイミングは人によって異なりますが、以下のような状況に当てはまる方は、売電先の見直しを検討する価値があります。
卒FITが近づいている
太陽光で発電した電力の固定価格での売電期間(FIT制度)は10年間と定められており、終了が近づくと、電力会社の買取価格が大きく変動します。
卒FIT後は、以前より低価格での買取となるケースが一般的となるため、「もっと有利な条件で売電したい」と考える方は少なくありません。
新たな売電先の選択肢を比較検討することで、太陽光発電を活用して引き続き安定した収益を確保できる可能性が広がります。
売電収入を増やしたい
「今よりも高く電気を買い取ってくれる電力会社があれば乗り換えたい」という方は、売電先の変更により収入アップが期待できます。
電力会社によっては、プレミアム価格での買い取りやポイント還元などの特典を用意している場合もあります。
売電価格だけでなく、トータルのメリットに注目した売電先選びがポイントです。
家計の経済的負担を減らしたい
電気代やガス代が高騰する中、家庭のエネルギーコストを抑える手段として売電先の見直しは有効です。
売電とセットで電気・ガスの契約をすると割引が適用されるプランや、自家消費と併用できるシステムを提供している会社もあります。
電力会社が用意しているお得な売電プランを活用することで、家計の負担を少しでも軽くできる可能性があります。
太陽光発電で売電先を変更するメリット
売電先の変更には、いくつかの大きなメリットがあります。
主なメリットを見ていきましょう。
売電収入を増やせる可能性
太陽光発電で売電先を変更すると、売電による収入がアップする可能性が広がります。
一般的に地域の大手電力会社の卒FIT向け買取価格は7〜9円/kWh程度ですが、新電力各社はそれより高い価格を提示するケースが多くあります。
例えば、一部の新電力では11〜13円/kWhの買取単価を設定している会社もあります。
年間の売電量が3,000kWhの家庭の場合、買取単価が8円から12円に上がれば、年間12,000円の収入増となり、長期的に見れば10年間で12万円もの差になります。
「プレミアム買取」と呼ばれる高単価プランを採用する新電力も増えており、収入アップの機会が広がっています。
電力購入とのセット契約による特典
多くの新電力では、電気の購入契約と売電契約をセットにすることで特典が得られるプランを用意しています。
例えば、大阪ガスでは電気の購入契約とセットにすると売電単価が通常より1円アップするプランがあります。
また、電気料金の割引や各種ポイント付与などの特典が受けられるケースもあります。
Amazonギフト券やWAONポイントなど、日常で使いやすいポイントで還元するプランもあるため、単に売電単価だけでなく総合的なメリットを考慮して選択すると良いでしょう。
卒FIT後もスムーズに売電を続けられる
売電先を早めに変更しておけば、FIT期間終了後に手続きを急ぐ必要がなく、スムーズに移行できます。
FIT制度が終了すると、電力会社による固定価格での買い取りはなくなりますが、売電自体ができなくなるわけではありません。
卒FIT後も、各電力会社や新電力会社が提供するプランを利用することで、引き続き売電を続けられます。
事前に複数のプランを比較する余裕があるため、自分にとってより有利な条件を選びやすくなる点もメリットです。
「卒FIT後の対応が不安」という方にとっても、卒FIT前にあらかじめ売電先を決めておくことは安心できる材料になるでしょう。
太陽光発電での売電先変更の手続き方法
太陽光発電の売電先を変更する際の基本的な流れは以下のとおりです。
- FIT満了通知を確認する
- 新しい売電先を選ぶ
- 必要書類を準備する
- 新しい売電先へ申し込む
- 切り替え完了を待つ
FIT買取期間が終了する約4〜6か月前に、現在の売電契約先から「買取期間満了のお知らせ」が郵送されます。
買取期間満了を知らせる通知書にはFIT終了日や現在の契約形態などが記載されているので、大切に保管しておきましょう。
次に、新しい売電先として契約したい最適なプランを持つ会社を選びましょう。
必要な書類と情報
太陽光発電の売電先変更手続きには、以下の書類や情報が必要なことが多いです。
必須の情報・書類
- 受給地点特定番号(検針票や買取満了通知書に記載されている22桁の番号)
- お客様番号(現在の契約に関する番号)
- FIT終了日(買取満了通知書に記載)
- 太陽光発電設備の情報(発電出力、設置年月日など)
場合によって必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証のコピーなど)
- 売電料金の振込先となる銀行口座情報
- 現在の検針票
これらの書類や情報は、買取満了通知書や検針票などから確認できます。
特に「受給地点特定番号」は電力供給地点を特定するIDで、契約切替時に必要なので、手元に用意しておきましょう。
申込み方法
新しい売電先への申込み方法は電力会社によってさまざまですが、主な申込み方法は以下の通りです。
1. オンライン申込み
多くの新電力会社では、公式サイト上に専用の申込みフォームを設けています。
PCやスマートフォンから24時間いつでも申し込める点が利点です。
フォームに必要事項を入力し、場合によっては本人確認書類などの画像をアップロードして送信します。
2. 電話での申込み
各社のカスタマーセンターに電話して申し込む方法です。
オペレーターが丁寧に案内してくれるので、不明点をその場で解消できるメリットがあります。
3. 郵送での申込み
一部の電力会社や地域の大手電力会社では、所定の申込書に記入して郵送する方法を採用しており、必要書類と一緒に返送する形になります。
どの申込み方法でも、申込後は新しい電力会社が必要な手続きを代行してくれるため、以前に契約していた電力会社へ自分で解約連絡をする必要はありません。
申し込みから売電会社の切替完了まで、おおむね1か月程度かかると考えておくと良いでしょう。
太陽光発電で売電先変更をする際の注意点
売電先を変更する際の注意点として、契約前に以下のポイントを確認しておきましょう。
地域による対応可否
電力会社によって、サービス提供エリアが異なります。
例えば東京電力の卒FITプランは関東甲信越の特定地域に限定されており、関西電力のプランは近畿地方にサービスを展開しています。
そのため、まずは検討している電力会社が自宅のエリアで卒FIT電力の買取サービスを提供しているか確認することが大切です。
各社のウェブサイトで対応エリアが記載されていることが多いですが、不明な場合は問い合わせるのが確実です。
同じ会社でもエリアによって買取価格やサービス内容が異なる場合があるため、具体的な条件を確認しておきましょう。
切替後のトラブル対応
太陽光発電の売電先変更後に発生する可能性のあるトラブルと対処法を事前に把握しておくことが大切です。
よくあるトラブル例
- 切替後に売電量が正しく計測されない
- 売電収入が予定通り支払われない
- 契約内容と異なる条件が適用されている
多くの新電力会社では専用のカスタマーサポート窓口を設けているため、事前にトラブルが発生した際の窓口を確認しておきましょう。
契約内容を記した書面を保管しておくと、トラブル発生時に契約内容を確認する際にスムーズに進められます。
電子メールやWEB上でのみ契約内容が通知される場合は、プリントアウトするか、データとして保存しておくことをおすすめします。
契約条件に当てはまっているか
売電先を変更する際は、各電力会社が定める契約条件を入念に確認することが重要です。
「太陽光発電の設置容量が10kW未満の住宅のみ対象」「指定エリア内での契約に限る」など、条件が細かく設定されている場合があります。
条件を満たしていないと申し込み自体ができなかったり、トラブルになったりする可能性があります。
電力会社が提供する公式サイトや資料に記載された募集要項を確認して、必要であれば問い合わせて確認しましょう。
卒FIT向けのプランがあるか
卒FITに対応した売電プランは、すべての電力会社が用意しているわけではありません。
卒FIT専用の高単価プランや、特典付きプランを用意している会社もあれば、売電の受け入れ自体を行なっていない会社もあります。
「FIT期間が終了するタイミングで乗り換えたい」と考えている場合、卒FITプランの有無を確認しておくことが大切です。
事前に複数社を比較し、条件や買い取り価格、契約のしやすさなども含めて総合的に判断するとよいでしょう。
太陽光発電の売電先変更に関するよくある質問
売電先変更に関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q: 売電先を変更すると工事が必要ですか?
A: 基本的に工事は不要です。
現在の電力メーターがスマートメーターの場合は、データ上の切替のみで完了します。
古い型のメーターをお使いの場合、スマートメーターの交換工事が必要になることがありますが、費用は原則無料です。
Q: FIT期間満了後に何もしなかった場合はどうなりますか?
A: 多くの地域電力会社では、申し出がなければ自動的に卒FIT後の通常買取プランに移行します。
例えば中国電力では、FIT満了後に申し込みがない場合、自動的に年間7.15円/kWh(税込)の買取プランに移行します。
何の契約もしないと、余った電力は一般送配電事業者により無償で引き取られるため、売電収入を得る機会を逃してしまうので注意が必要です。
Q: 売電先の変更後、電力会社を再度変更できますか?
A: 可能です。
多くの電力会社では解約違約金を設定していない、または短期間のみの設定となっています。
キャンペーン特典を受けてすぐに解約すると違約金が発生するケースがあるので、契約時に解約条件を確認しておくことをおすすめします。
Q: 売電収入は確定申告が必要ですか?
A: 太陽光発電による売電収入は「雑所得」として扱われるため、年間の売電収入から経費を差し引いた利益が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
電気料金との相殺型の場合、実質的に電気代の割引になり、確定申告が不要となる場合もあるため詳しくは税務署や税理士にご相談ください。
まとめ
売電先変更は、卒FIT後の太陽光発電をより有効活用するための重要な選択肢です。
適切な売電先を選ぶことで、売電収入を増やしたり、さまざまな特典を受けたりできる可能性を広げられます。
売電先変更の手続き自体は比較的簡単で、多くの場合はオンラインや電話で完結します。
ただし、各社のサービス内容や対応エリア、契約条件などは頻繁に変わるので、最新情報を確認することが大切です。
卒FITは終わりではなく、太陽光発電の新たな活用方法を考える機会です。
この記事を参考に、ご自身のライフスタイルや優先順位に合った最適な売電先を見つけていただければ幸いです。
大切な太陽光発電設備を長期的に有効活用して、お得に再生可能エネルギーを活かしていきましょう。