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売電先変更とは?

太陽光発電の売電先を変更できることをご存知でしょうか?電力自由化により、発電した電気の「買い手」を自由に選べるようになりました。多くの方は固定価格買取制度(FIT)の期間中、地域の電力会社に売電していたかと思いますが、FIT期間が満了した「卒FIT」後も売電を継続できます。さらに、地域の電力会社だけでなく、新電力(電力自由化以降に参入した小売電気事業者)との契約も可能です。

ここで重要なポイントは、「電気の購入先」と「売電先」は別の契約だということです。つまり、家庭で使う電気は地域の電力会社から買いながら、太陽光で発電した余剰電力は新電力に売ることができます。このように売電先を変更することで、さまざまなメリットが期待できるのです。

売電先を変更するメリット

売電先の変更には、いくつかの大きなメリットがあります。主なメリットを見ていきましょう。

売電収入を増やせる可能性

最大のメリットは、売電収入がアップする可能性があることです。一般的に地域の大手電力会社の卒FIT向け買取価格は7〜9円/kWh程度ですが、新電力各社はそれより高い価格を提示するケースが多くあります。例えば、一部の新電力では11〜13円/kWhの買取単価を設定している会社もあります。

具体的な収入増加例でいえば、年間の売電量が3,000kWhの家庭の場合、買取単価が8円から12円に上がれば、年間12,000円の収入増となります。長期的に見れば、10年間で12万円もの差になります。特に「プレミアム買取」と呼ばれる高単価プランを採用する新電力も増えており、収入アップの機会が広がっています。

電力購入とのセット契約による特典

多くの新電力では、電気の購入契約と売電契約をセットにすることでさらなる特典が得られるプランを用意しています。例えば、大阪ガスでは電気の購入契約とセットにすると売電単価が通常より1円アップするプランがあります。

また、電気料金の割引や各種ポイント付与などの特典が受けられるケースもあります。中にはAmazonギフト券やWAONポイントなど、日常で使いやすいポイントで還元するプランもあるため、単に売電単価だけでなく総合的なメリットを考慮して選択すると良いでしょう。

売電先変更の手続き方法

売電先変更は思ったより簡単です。基本的な流れは以下のとおりです。

  1. FIT満了通知を確認する
  2. 新しい売電先を選ぶ
  3. 必要書類を準備する
  4. 新しい売電先へ申し込む
  5. 切り替え完了を待つ

まず、FIT買取期間が終了する約4〜6か月前に、現在の売電契約先から「買取期間満了のお知らせ」が郵送されてきます。このお知らせにはFIT終了日や現在の契約形態などが記載されていますので、大切に保管しておきましょう。

次に、新しい売電先として契約したい電力会社を選びます。前述のメリットを考慮して、自宅のエリアで利用可能な最適なプランを持つ会社を選びましょう。

必要な書類と情報

売電先変更の手続きには、以下の書類や情報が必要になることが多いです。

必須の情報・書類

  • 受給地点特定番号(検針票や買取満了通知書に記載されている22桁の番号)
  • お客様番号(現在の契約に関する番号)
  • FIT終了日(買取満了通知書に記載)
  • 太陽光発電設備の情報(発電出力、設置年月日など)

場合によって必要な書類

  • 本人確認書類(運転免許証のコピーなど)
  • 売電料金の振込先となる銀行口座情報
  • 現在の検針票

これらの書類や情報は、買取満了通知書や検針票などから確認できます。特に「受給地点特定番号」は電力供給地点を特定するIDで、契約切替時に必須の情報ですので、必ず手元に用意しておきましょう。

申込み方法

新しい売電先への申込み方法は、電力会社によってさまざまです。主な申込み方法は以下の通りです。

1. オンライン申込み 多くの新電力会社では、公式サイト上に専用の申込みフォームを設けています。PCやスマートフォンから24時間いつでも申し込めるのが便利です。フォームに必要事項を入力し、場合によっては本人確認書類などの画像をアップロードして送信します。

2. 電話での申込み 各社のカスタマーセンターに電話して申し込むこともできます。オペレーターが丁寧に案内してくれるので、不明点をその場で解消できるメリットがあります。

3. 郵送での申込み 一部の電力会社、特に地域の大手電力会社では、所定の申込書に記入して郵送する方法を採用しています。必要書類と一緒に返送する形になります。

どの方法でも、申込後は新しい電力会社が必要な手続きを代行してくれます。通常、自分で旧契約の解約連絡をする必要はありません。申し込みから切替完了まで、おおむね1か月程度かかると考えておくと良いでしょう。

売電先変更の注意点

売電先を変更する際には、いくつかの注意点があります。契約前に以下のポイントを確認しておきましょう。

地域による対応可否

電力会社によって、サービス提供エリアが異なります。例えば東京電力の卒FITプランは関東甲信越の特定地域に限定されており、関西地方では利用できません。同様に、関西電力のプランは近畿地方が中心です。

そのため、まずは検討している電力会社が自宅のエリアで卒FIT電力の買取サービスを提供しているか確認することが大切です。各社のウェブサイトで対応エリアが記載されていることが多いですが、不明な場合は問い合わせるのが確実です。

また、同じ会社でもエリアによって買取価格やサービス内容が異なる場合もありますので、具体的な条件を確認しましょう。

切替後のトラブル対応

売電先を変更した後に発生する可能性のあるトラブルとその対処法についても事前に把握しておくことが大切です。

よくあるトラブル例

  • 切替後に売電量が正しく計測されない
  • 売電収入が予定通り支払われない
  • 契約内容と異なる条件が適用されている

こうしたトラブルが発生した場合の窓口を事前に確認しておきましょう。多くの新電力では専用のカスタマーサポート窓口を設けています。問い合わせ先の電話番号やメールアドレス、受付時間などをメモしておくと安心です。

また、契約内容を記した書面は必ず保管しておきましょう。トラブル発生時に契約内容を確認する際に必要となります。電子メールやWEB上でのみ契約内容が通知される場合は、必ずプリントアウトするか、データとして保存しておくことをおすすめします。

よくある質問

売電先変更に関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。

Q: 売電先を変更すると工事が必要ですか? 

A: 基本的に工事は不要です。特に現在の電力メーターがスマートメーターの場合は、データ上の切替のみで完了します。古い型のメーターをお使いの場合は、スマートメーターへの交換工事が必要になることがありますが、この場合も費用は原則無料です。

Q: FIT期間満了後に何もしなかった場合はどうなりますか? 

A: 多くの地域電力会社では、特に申し出がなければ自動的に卒FIT後の通常買取プランに移行します。例えば中国電力では、FIT満了後に申し込みがない場合、自動的に年間7.15円/kWh(税込)の買取プランに移行します。ただし、全く何の契約もしないと、余剰電力は一般送配電事業者によって無償で引き取られるだけとなり、売電収入を得る機会を逃してしまいます。

Q: 売電先を変更した後、再度変更することはできますか? 

A: 可能です。多くの電力会社では、解約違約金を設定していないか、短期間のみの設定となっています。ただし、キャンペーン特典を受けてすぐに解約すると違約金が発生するケースもありますので、契約時に解約条件を確認しておくことをおすすめします。

Q: 売電収入は確定申告が必要ですか? 

A: 売電収入は一般的に「雑所得」として扱われますので、年間の売電収入から経費を差し引いた利益が20万円を超える場合は確定申告が必要です。電気料金との相殺型の場合は、実質的に電気代の割引という形になるため、確定申告が不要となる場合もあります。詳しくは税務署や税理士にご相談ください。

まとめ

売電先変更は、卒FIT後の太陽光発電をより有効に活用するための重要な選択肢です。適切な売電先を選ぶことで、売電収入を増やしたり、さまざまな特典を享受したりすることができます。

手続き自体は比較的簡単で、多くの場合はオンラインや電話で完結します。ただし、各社のサービス内容や対応エリア、契約条件などは頻繁に変わりますので、最新情報を確認することが大切です。

卒FITは終わりではなく、太陽光発電の新たな活用方法を考える機会です。この記事を参考に、ご自身のライフスタイルや優先順位に合った最適な売電先を見つけていただければ幸いです。そして、大切な太陽光発電設備を末永く有効活用して、お得に再生可能エネルギーを活用していきましょう。

 

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