
「太陽光発電で自家消費したいけど、何をすればいいか分からない」「自家消費の注意点や費用を知りたい」
太陽光発電設備をお持ちの方には、上記のような悩みがあるのではないでしょうか。
今回の記事では、「太陽光発電で自家消費する際の接続方法」「接続にかかる費用や注意すべきこと」について解説します。
太陽光発電の自家消費に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
太陽光発電の自家消費とは?
太陽光発電の自家消費とは、太陽光発電システムで発電した電気を自宅や事業所で使うことです。
自家消費をすると以下のようなメリットがあります。
- 電力会社から買う電力が減り、電気代を節約できる
- CO2の排出量を削減できる
- 地震などの災害が発生した際、太陽光発電システムを非常用電源として活用できる
- 節税効果が見込める
近年、太陽光発電は全量売電型(発電した電力を全て電力会社に売る方式)から自家消費型にシフトしています。
自家消費型が注目されているのは、2020年にFIT制度(固定価格で電力を売却できる制度)が見直されたためです。
50kW未満の発電設備については、自家消費率30%以上がFIT制度認定の条件となるため、自家消費型の導入が進んでいます。
太陽光発電で自家消費するための接続方法
太陽光発電で自家消費するための接続方法は以下の3種類です。
- 独立型:電力会社の送電網と接続せず、発電した全ての電力を自分で使う
- 逆潮流型:発電した電力を消費し、残った電力を電力会社に売る
- 系統連系型:電力会社に発電した電力を送りつつ、電力を受け取る
この章では、それぞれの接続方法について解説します。
独立型:電力会社の送電網と接続せず、発電した全ての電力を自分で使う
独立型とは、電力会社の送電網との接続を行わず、発電した電力を全て自家消費する方式のことです。
独立型には以下のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 電力会社から電気を購入する必要がないため、電気代を大きく節約できる
- 電力会社との契約が不要
【デメリット】
- 発電量が自家消費量を超えると電力が余る
- 自家消費分より発電量が少なければ電力不足に陥る
- 初期費用・メンテナンス費用が高額になる
電力の余剰・不足を防ぐには蓄電池などを設置する必要があるため、独立型の導入にはコストがかかります。
逆潮流型:発電した電力を消費し、残った電力を電力会社に売る
逆潮流型とは、発電した電力を自家消費しながら、余った電力を電力会社に売る方式のことです。
逆潮流とは、発電量が消費電力を超えた際に、余剰電力が電線を介して電力会社に流れる現象を指します。
電力会社の送電網と切り離す独立型に対して、逆潮流型は電線と接続されているため、電力会社からの電力受け取りが可能です。
逆潮流型には次のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 自家消費後に残った電力を売れるため、電気代を節約しつつ、売電収入を得られる
- 電気が不足しても電力会社から電力を購入できる
【デメリット】
- 電力会社と契約しなければならない
- 売電価格が下落傾向にあり、将来性が不透明
逆潮流型を導入する場合は、より売電価格が高い電力会社を選ぶようにしましょう。
系統連系型:電力会社に発電した電力を送りつつ、電力を受け取る
系統連系型は、太陽光発電設備で発生させた電力を電力会社に送り込み、必要であれば電力会社から電力を供給してもらう方式です。
系統連系とは、電力を電力会社に売るために、電力会社の電力系統に発電設備を繋ぐ工程のことです。
系統連系型には以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 発電量が自家消費量を上回る場合は売電収入が得られる
- 電力が足りなければ電力会社から電気を送ってもらえる
【デメリット】
- 電力会社の契約が必須
- 電力の売買による収入・支出を管理する必要がある
- 電力会社の条件や規制に従わなければならない
逆潮流型・系統連系型のどちらも、電力不足・余剰を解消し、効率よく電力をやりくりできるのが魅力です。
太陽光発電で自家消費する際の注意点
太陽光発電で自家消費する際には、以下の点に注意しなければなりません。
- 電力会社に電力が向かわないよう対策が必要
- 切り替え手続きが発生する
- メンテナンスをしなければ自家消費率が下がる
この章ではそれぞれの注意点について解説します。
電力会社に電力が向かわないよう対策が必要
売電をせずに自家消費をする際は、逆潮流により電力会社に電力が流れないように対策が必要です。
逆潮流の対策を行わなければ、過剰な電力流入によって電線や変電所の負担が増大し、停電や電圧品質低下のリスクが発生します。
RPR(逆電力継続器)や制御装置を設置すれば、逆潮流を防ぐことが可能です。
RPR(逆電力継電器)
RRPは逆潮流の可能性があると判定すると、太陽光発電設備を一時的にストップさせます。
これにより、余った電力が電線に流れなくなるため、電気設備の安全性を確保できます。
RRPが動作している間は発電ができないため、RRPと併せて制御装置の導入も必要です。
制御装置
制御装置は、逆潮流を予測して発電量の制御を行う装置を指します。
制御装置があれば、RRPが動く前に電力を制御できるため、発電設備を安定して稼働させることができます。
切り替え手続きが発生する
余剰売電方式(逆潮流型・系統連系型)から、全量自家消費方式(独立型)に変更する際は、電力会社への切り替え申請が必要です。
申請せずに自家消費量を増加させる選択肢もありますが、売電価格が電気料金よりも安ければ経済的なメリットがあまりありません。
電気料金の節約を目的として全量自家消費を行うのであれば、忘れずに電力会社へ契約内容の変更申請を行いましょう。
申請を行う際は、事前に電力会社へ問い合わせし、内容を確認するのがおすすめです。
メンテナンスをしなければ自家消費率が下がる
太陽光発電設備のメンテナンスを怠ると、経年劣化などにより発電効率が低下し、自家消費率が下がるおそれがあります。
こまめに設備のメンテナンスを実施して不具合を予防すれば、長期間にわたって発電量を高く保つことが可能です。
メンテナンスでかかる費用は以下の通りです。
- 定期点検:1〜2万円程度
- 太陽光パネルの清掃:3〜6万円程度
- パワーコンディショナー(発電した直流電力を住宅用の交流電力に変える装置)の交換:20万円程度(1台あたり)
メンテナンス費用は初期費用よりも目立たないものの、長く運用するのであれば決して無視はできません。
自家消費に切り替える際は、事前にメンテナンス費用をシミュレーションすることが重要です。
太陽光発電で自家消費するための接続にかかる費用はいくら?
独立型(発電した電力を全て自家消費する方式)などの接続方法では、次の機器を設置する費用がかかります。
- 蓄電池
- RPR(逆電力継電器)
- 制御装置
(1)蓄電池の設置費用
家庭用蓄電池の価格相場は以下の通りです。
費用項目 | 価格相場(1kWhあたり) |
設備費用 | 7.5万円 |
工事費用 | 2.2万円 |
製造・検査費用など | 4.2万円 |
合計 | 13.9万円 |
こちらの価格は平均的なデータが基となるため、蓄電池の性能や設置場所などにより費用は変動します。
詳しい費用については、業者へ見積もり依頼をしてチェックするとよいでしょう。
(2)RPR(逆電力継電器)及び制御装置の費用
RPR(逆電力継電器)の本体費用は15万円ほどとなります。
RPRに制御装置が加わったものであれば、本体にかかるコストは20万円ほどです。
まとめ
今回の記事では、「太陽光発電で自家消費を行うための接続方法」「接続にかかる費用や注意点」について解説しました。
接続方法には、電力を全て自家消費する「独立型」と、一部のみ自家消費する「逆潮流型」「系統連系型」があります。
自家消費をする際は、機器の設置・メンテナンスや切り替え手続きが必要となる点に注意が必要です。
太陽光発電を正しく自家消費すれば、電気代の節約が見込めます。
この記事を参考にし、環境に優しく経済的な太陽光発電ライフを送りましょう。