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「太陽光パネルのリサイクルはできないのでは?」「パネルの処分にはどのくらいのお金が必要なの?」
太陽光パネルを活用している人は、このような疑問があるのではないでしょうか。

今回の記事では、「太陽光パネルが抱える廃棄問題」「パネル1枚あたりの処分費用」などについて解説します。
太陽光パネルの処分に興味がある人はぜひ参考にしてください。

太陽光パネルがリサイクルできないと言われる理由

太陽光パネルがリサイクルできないと言われるのは、以下2つの理由があるためです。

  • 太陽光パネルに有害物質が含まれているため
  • リサイクルできる業者が少数のため

この章ではそれぞれの理由について解説します。

太陽光パネルに有害物質が含まれているため

太陽光パネルのリサイクルができないと言われている理由の1つは、パネルに有害物質が含まれている点です。 
パネルはリサイクルできるものの、部品によって有害物質の有無が異なるため、全てがリサイクル可能とはなりません。 

パネルの銅線やアルミフレームなどは簡単にリサイクルができるものの、ガラス部分はリサイクルが難しいとされています。
 

パネルに使われるガラスは、アンチモンと呼ばれる化学物質を使用して気泡を消し、太陽光の透過率を上げています。

アンチモンは人体や環境に悪影響を及ぼす恐れがあるため、分解のみではリサイクルできません。
 

適切にパネルをリサイクルするには、どの程度有害物質が含まれるかを把握する必要があります。
環境に影響なく処分できないと判断し、パネルの回収を断る業者もいるため、リサイクルは難しいと言われているのです。

リサイクルできる業者が少数のため

太陽光パネルがリサイクルできないと言われるもう1つの理由は、リサイクルできる業者が少ない点です。
パネルのリサイクルを行う産業廃棄物中間処理業者は、全国で50社(2025年4月時点)あります。

2018年以降から環境省がパネルのリサイクル設備導入を支援しており、中間処理業者の数は増加傾向にあります。
しかし、1都道府県につき1.06社に留まるため、パネルの廃棄問題が懸念される現在では業者が不足しているといえるでしょう。 

なお、太陽光発電協会(JPEA)は、定期的に中間処理業者の一覧を公開しています。

リサイクル可能な業者を探す際は、太陽光発電協会のサイトをチェックしてみましょう。
 

太陽光発電設備の廃棄に関する情報|太陽光発電協会(JPEA) 
 

太陽光パネルにおける廃棄問題の現状

太陽光パネルの廃棄問題は現状どうなっているのでしょうか。

この章では、以下のテーマについてそれぞれ解説します。

  • 太陽光パネルのリサイクル技術
  • 太陽光パネルのリサイクルで解決すべき課題

太陽光パネルのリサイクル技術

太陽光パネルをリサイクルする技術は、次表の通りいくつかあります。
 

技術名技術の内容処理後のガラス形状
ホットナイフ分離法
((株)NPC)
およそ300度に加熱したナイフでEVA(太陽電池とガラスを接着している樹脂)を溶かし、ガラスを分離粒状
ブラスト工法粒状の投射材料をガラス表面に吹き付け、ガラスを分離

粒状

※投射材料はふるい装置で回収

ガラスわけーるⅢ型ローラーで大きなガラス辺を剥がし、ブラシで小さなガラスや導線などを削ぐ

粒状

※風力や色の選別、金属検知器により素材を分別し、ガラス精製システムで異物を除去

Resonaアルミフレームを外し、ローラー型粉砕機でガラスを除去粒状
加熱・燃焼処理窒素ガスの分解炉でEVAを熱分解粒状


 

選択する技術によって回収するガラスの品質や資源としての使い道が異なる点が、パネルにおけるリサイクル技術の現状です。

太陽光パネルのリサイクルで解決すべき課題

リサイクルのしにくさゆえに太陽光パネルは廃棄を選択されやすいため、数年後には大量廃棄が問題になるでしょう。

大量廃棄が始まる前に解決すべき課題は以下の3つです。

課題1:リサイクルコストの低減

パネルの処分においては、リサイクルよりも低コストでできる埋め立てが選択されるケースがあります。

そのため、優先的にリサイクルが選択されるようにリサイクル費用の低減が必要です。

課題2:高度な選別技術の確立

リサイクルで回収されたガラスには、アンチモンなどの有害物質や不純物が含まれます。

これらの物質はガラスの再資源化に影響があるため、物質を高度に選別する技術の向上が不可欠です。

課題3:地域に合ったリサイクル事業の構築

2025年4月時点においては、リサイクルを行う産業廃棄物中間処理業者がない自治体も少なくありません。

そのため、地域の実情に即したリサイクル体制を構築し、リサイクルの事業性を高める必要があります。
 

太陽光パネル1枚あたりの処分費用はどのくらいかかる?

太陽光パネル1枚の処分費用はどのくらいかかるのでしょうか。

この章では、住宅で使う太陽用パネルの「撤去」「運搬」「廃棄(リサイクル)」で発生する費用をそれぞれ解説します。

太陽光パネルの撤去にかかる費用

パネルの撤去費用は、1枚あたり5,000〜2万円が目安です。

撤去費用は処分時に最もコストがかかり、トータル処分費用の半分近くとなるケースもあります。


 屋根にあるパネルの撤去作業は、電気工事士や足場作業員などの専門家が必要となるため、人件費が多くかかります。


 足場費用の相場は1㎡につき700〜1,000円で、30坪の戸建てであれば20万円前後です。

ただし、建物の階数や足場スペースの狭さなどの要因で費用が変化しやすくなります。

 

また、パネルの撤去後は屋根にボルトの取り付け跡が残るため、追加で費用が発生することも。

ボルト跡が微小であれば追加費用はありませんが、損傷が大きければ5〜20万円程度の修繕費用がかかります。

外した太陽光パネルの運搬にかかる費用

取り外した太陽光パネルを処理場まで運搬する際も、1枚あたり1,000〜2,000円ほど費用がかかります。

費用が発生するのは、パネルをトラックで運搬する必要があるためです。

4トンのロングトラック1台にパネルを積むとすれば、運搬費は2万5,000円ほどとなります。
 

パネルのサイズが大きくなるにつれて運搬するトラックが増えるため、費用は上がります。

また、処分場までの距離が遠ければ費用が増加するでしょう。

 

パネルは産業廃棄物であるため、適切に運搬しなければ処罰の対象となります。

処分を行う際は、必ず自治体に認定されている運搬業者へ依頼してください。

太陽光パネルの廃棄・リサイクルにかかる費用

パネルの廃棄及びリサイクルで発生する費用は、1枚につき1,000〜5,000円ほどです。

有害物質を含むパネルは適切な処理が必要となるため、一般ごみよりも費用が高くなります。
 

戸建て住宅に20枚パネルが設置されているケースでは、費用総額が10万円近くに及ぶことも。

 

パネルの規模が大きければその分処理費用は高くなります。

パネルの種類によっても価格は変動するため、見積もりを十分に行うことが重要です。

 

太陽光パネルの処分費用を抑えるコツ 

パネル1枚の処分費用はトータルで約1万5,000円となり、決して安くはありません。

費用を抑えたいと思っている人は、以下の方法を実践するとよいでしょう。

複数の業者に見積もりを依頼する

パネルの処分費用を抑えるには、複数の業者に見積もりを依頼して比較・検討しましょう。
処分費用の内訳、追加料金の有無などを詳細に比較することで、より費用が安い業者を選択できます。

相場観を把握するためにも、3社以上の業者から見積もりを取るのがおすすめです。

リサイクル・リユース業者を活用する

リサイクル・リユース業者の活用も、処分費用を抑える上で有効な選択です。

パネルを買い取ってもらうとお金が入るため、その分処理のコストを削減できます。
 

まとめ

今回の記事では、「太陽光パネルの廃棄問題はどうなっているか」「パネル1枚の処分費用」などについて紹介しました。
 

パネルには有害物質が含まれ、処理できる業者が少ないため、リサイクルができないと言われています。

実際はリサイクル技術が確立されつつあるため、リサイクルもパネルの処分コストを抑える有効な選択肢となります。

 

パネルを処分する際は、どのくらいの費用がかかるかを把握することが重要です。

環境に配慮しつつ、費用を抑えて太陽光パネルを処分しましょう。

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